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【黒歴史】 全速力で走る霊 【2002年(18歳)】

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【全速力で走る霊】


1. 相島沖史、逃亡する

ガキの頃から、逃げ足だけは速かった。
元陸上部、今社会のクズ。
俺の名前は、相島沖史。中学3年生。
俺はアウトロー(自分で言うのも虫唾が走るが)
であるが、評論家が分類する様な「不良」ではない。
何故なら、俺は喧嘩が弱い。度胸が無い。
根性が無い。痛いの嫌い。身体も見た目より弱い。

陋劣にも出席日数を緻密に計算して、
適度に学校も来るし、『発掘!あるある大辞典』
みたいな健康番組が腹痛のメカニズムを解明していたら、
思わず見ずには居られない。

全ては一人で人生を生きていくための姑息な手段だ。
この世の中に信頼できる人間なんて、存在しない。

速いのは、逃げ足だけ。
俺は、全速力で走る時、いつだって何かから逃げている。

社会の矛盾。欺瞞。
ヤバい連中。
戦争。汚職。テロ。

つうか、世の中には、努力する価値も、
見返りもクソも無い。
インテリも、ヤクザも、不良も東大生も
核爆弾が飛んで来たら死んじまう。
それって、何なんだ?
もう俺は訳が解らない。
だから、俺は、短い人生の中で、たった一つの
事を決めて、学んで来た。

俺は努力をしない。
代わりに人生に何も望まない。
それで折り合いがつくはずだ。
何かを望むから、絶望がついてまわる。
希望的観測を排除する事によって、
俺は遮断する。
喜びも。痛みも。絶望も。
それがこの生き辛い社会を生き延びる為の
適応規制だ。


何時まで逃げれば良い?
何処まで逃げれば良い?
そう、俺が払い続けているのは、不可解なカルマだ。

2000年5月の下旬、15歳。
俺は真面目に生きる事を放棄した。