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【黒歴史】 全速力で走る霊 【2002年(18歳)】

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俺は多分、自殺する事は無いと思う」
「絶対に?」
「推定。俺が思うにな、自殺する連中なんてのはな、
人生に真面目に取り組みすぎなんだよ。
人生ってのは、努力する価値があって、
生きている、それだけでいつか報われる、
素晴らしい物だと、妄信してんだ。
そんな事、誰が教えた?誰も教えちゃいねぇ、妄信だ。
世界なんて、ハナッからそんな素晴らしいもんじゃねぇんだ。
それで、嫌な事があると不幸の被害者面して
自殺したり、己惚れを見逃すんだ。バカばっかだ。
俺はこんな世の中には1ミクロンも興味が持てねぇ。
だから死ぬほど真面目に参加しない」
「すごいなぁ。そこまで言い切っちゃうかぁ。
こんなに温度の低い高校生は初めて見たよ。
もっと熱くなるべきだな。うん。よし」
やつは突然、俺の隣の机上に、無防備に置かれていた
黒い箱を開けると、何かを手早く取り出し、
焦点が合わないほど俺の顔面寸前に差し出した。
「何だよ、これ」
「女子のたて笛・・・舐めますか」
「何、言ってんだよ!?バカか、お前は!?」
「覚醒せよ」
「ハァ!?」
「覚醒せよ。ペロッと舐めて、チュルッと吸って、
これから変態として熱く煮えたぎる人生を送りなさい」
「ほざけえぇぇぇえっ!!」
笛の真ん中から下にかけて最高速の手刀を叩き込む。
バシッ、と短い感触の後、教室の後ろまで吹っ飛ぶたて笛。
「おー痛ぇ・・・」手の側面がまだじんじんしている。
「あーあ、たて笛拾わなきゃ。汚れちゃったよ」
渋々とした様子で男子生徒が救出に向かう。
「お前・・・いつもそんな事やってる訳?」
「んーん」
やつは間もなく戻ってくると、何事も無かったかのように
再び箱にたて笛をしまいながら、軽く呟いた。
「相島君・・・だよねぇ」
「ああ!?何で知ってる?」
「同じクラスだから。今日、話したの初めてだね。
僕は、沢村現。以後見知りおけ」
丁寧な命令口調。とことん意味不明。
「なんで、俺なんかに話しかけた」
「同じ匂いがしたからさ。相島君は。
僕も、リストカットマニアなんだ」
沢村は、笑うと、左手を挙げ、手首の内側を俺に見せた。
無数の傷痕。その全ては恐らくカミソリか何か、
鋭利な刃物で切り裂いた後だろう。
「ふうん・・・」
俺は馬鹿みたいにそれしか言えなかった。
ムカつく気も、全て失くしていた。
沢村は、俺より遥かに、超低空飛行で人生を