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【黒歴史】 全速力で走る霊 【2002年(18歳)】

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「ええと・・・それは・・・例えば・・・
『ミラ・ジョボビッチ』って言ってみて」
「ミラジョボビッチ」
「あーいいねぇ。興奮する。
いい女子高生の何がジョボジョボ言ってて
何がビッチビッチしてるのかと思うと、
非常に興奮する」
「あははは、面白い面白い」
こんな下ネタでこんなに笑う女は見た事無い。
何だ?この女は。
普通の女なら。
というか、今まで俺が出会ってきた女なら、
このへんで確実に俺の事を軽蔑するはずだが。
「俺はそのうち女子高生の陰毛を集めて
タワシでも作ろうと思ってるやつだぞ」
「あははは、サイコー」
笑い過ぎて苦しいといった感じ。

俺は新田尚子を追い払う事を諦めた。
沢村事件以降、忍耐力が低下してるのかもしれないが、
彼女を合図で俺の隣に座らせると、俺は起き上がって
壁に背を凭れ掛けて、話し出した。

「俺の事分析したいのか?どうやって」
「じゃあ、さ、なんか君の信条みたいなものは
ないわけ?普段心がけてる事とか。それを聞かせてよ」
「俺は、可能な限り他人と接触したり、
生活に介入せんように生きてます。
普段から幽霊のように生きてゆくのです。
自殺した時に、誰も悲しまないようにです」
まだニヤニヤしながらこの女は関心する素振りも無い。
「まぁまぁまぁ、その若さで可哀想に、
ストア派の学者にでもなるつもり?」
「そんな大層な事じゃねぇよ。ただ、俺は誰にも
心を開かないっつうこと」
「友達は?彼女は?いないの?」
「えー・・・幽霊仲間なら居るけど・・・いない」
「じゃあ、握手しよう」
「はあ?」
新田さんが、身体を捩って、右の手をこっちに真っ直ぐ
突き出している。その手を俺は掴む気になれない。
「ねぇ、この手はいつか芥川の『蜘蛛の糸』みたいに
プッツリ切れるんじゃないんですか?だったら俺は・・・」
その瞬間、身体がブラックホールに吸い込まれた気がした。
何も言わずに、新田さんが俺の手をぐいと引き寄せて
いたんだ。不覚にも、久しぶりに感じた人肌の温もりを
俺は懐かしいと思ってしまった。
「あのさぁ、なんか企みがあるんだったら・・・」
「まずは友達になろうっていうだけよ」
「あの・・・たぶん俺と新田さんは友達にはなれないよ。
何故なら、俺は男であんたは女だから。
例えば、何気ない仕種や話題をしてても、
俺の頭の中には性的衝動が充満している。