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夢現の世界

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「キョウジ君が早くクラスに溶け込めるように仲良くしてやってくれ」とたのまれた。友達って言われてなれる物か?と頭に疑問符を浮かべながら、仲良くなるかはわかりませんが、まあちょっと話しかけてみますよ。とあいまいな返事をした。
 教室に戻るとキョウジの回りに女の子が群れを成していた。しかし彼は嫌な顔ひとつせず、紳士的にその女の子たちからの質問攻めに答えていた。こんな柔らかな物腰と甘いマスクをもって、もてないワケが無い。よって、自分が何かする必要は無い。そう考え、僕はその喧騒を避け、家に帰る準備をして教室から出ようとした。
「ちょっとまって」後ろから声がした。キョウジだった。
振り返ると、女の子の集団の中からキョウジが僕のほうに向かってきた。
「たしか君って帰り道僕と一緒だよね。今変えるなら一緒に帰らない?」

 「ああやって歓迎してもらうのはうれしいんだけど、ちょっと疲れるんだよね。それに男友達ができにくくなるし。どうにかならないかな。」
帰り道を一緒に歩きながら、キョウジは苦笑しながら言った。言う人が違えば大分印象が悪いであろうその言葉も、キョウジが言うと違和感が無かった。暫く他愛ない話をしていながら歩いていると、ふとキョウジがいった。
「今日は夢を見たかい?」
「残念ながら見てないな。最近良く見ていたんだけれど。」
僕はそう返事をした。
キョウジは真剣な顔になった。
「前までどんな夢を見ていたの?よかったらおしえてくれないか?」
「夢占いでもしてくれるのか?」と僕は茶化そうとした。しかし、それを見透かしたようにキョウジは言った。
「森の中であう和服の女の子と遊ぶ夢。『私のこと覚えてる?』という質問。心当たりない?」
僕は目を丸くしてキョウジを見た。なんでコイツあの夢のこと知っているんだ?しかもあの質問まで。体が硬直した。キョウジは続けた。
「夢を見始めてから睡眠時間が徐々に長くなってないか?君は“アイツら”に狙われているんだ。人ならざるものにね。」
まずいコイツ、そっち系か。あぁ関わるべきじゃなかった。でも確かに夢を見始めてから睡眠時間は増えていた。今日は見なかったから時間通り起きられたけれど。話を聞くべきか聞かないべきか、僕は戸惑った。そんな僕を見ながらキョウジはまくし立てた。
作品名:夢現の世界 作家名:伊織千景