夢現の世界
「知ってる知ってる!この中途半端な時期に転校生が来るんでしょ!?」
「なんだよ“謎”の転校生って」
「こんな中途半端な時期に来る転校生はすべからく謎の転校生なんだよ。明日学校に来るみたいだぜ。」
ユウスケはどこかで聞いたことのあるようなセリフをいった。
ハイハイそうですか。転校生もハードル上がって大変だなあと僕は結構ドライに思っていた。そんなことより早く夜が来ないか待ちどおしかった。現実逃避。そう人は言うかもしれない。けれど僕はあの子に会いたい。その一心だった。
僕は肩を落として、がっくりしながら学校に向かっていた。今までほぼ毎日見ていた例の夢を今朝は何故か全く見られなかったのだ。もうあの子には会えないのだろうか。このまま普通の夢のように記憶から消えてしまうのか。冗談じゃない。これだけ人の心を揺さぶって、「私のこと覚えてる?」なんて意味深な言葉を残して、君は消えてしまうのか。まったく冗談じゃない。そんな考えをめぐらせていたとき、ふと昨日ユウスケの言っていた事を思い出した。“謎”の転校生。もしかしたら…ってまさかそんな事は無いか。そんなベタな展開はありえない。と思いつつそれを期待している自分がいた。
そんな淡い期待は本当にあっさりと崩れ去った。京都から来たというその転校生は礼儀正しく自己紹介をした後、僕の “後ろ”に座ることになった。そう、転校生はキョウジという“男”だったのだ。まあこんなもんか現実なんて、と僕は小さくため息をついた。イケメン好きの女子達がキャアキャアと黄色い声を上げていた。確かに端正な顔立ちだ。後ろでユウスケがそわそわしていたのを見て、僕はカオリに聞いてみた。カオリは
「男は顔じゃなくて中身でしょ。」と後ろのユウスケより男らしい返事が返ってきた。
そんな話をしている間に、用意された席を持って転校生キョウジは僕の後ろに座った。
女子が騒ぐのも無理はない、男から見てもキョウジは格好良かった。しかも顔だけでなく、人を引き付ける何かを持っていた。
授業が終わると先生が僕を呼び出した。なんだなんだと身構えていると、先生から、