小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

世界はひとつの音を奪った

INDEX|3ページ/32ページ|

次のページ前のページ
 


 桜も散った5月。
 今、僕の興味をむけているのは、目の前のオッちゃんの読んでる新聞の一面。
 またタバコ税をあげるとか書いてある。なんという迷惑な。
 政治家は嫌いなジャンルだ。
 詭弁と建前と、信念と思惑が交錯する会話は聞いてて気持ちが悪い。
 奴らは本性を隠すプロ集団だね。

 ガードレールに背中をもたれかけるように、広場に座り込む。
 ちょうど植木の日陰になって、風は涼しいが、アスファルトは相変わらず熱い。
 モザイクタイルの床にカバンを開く。
 中には、綺麗に輝くアクセサリーが並ぶ。
 僕個人の趣味はシルバー系だが、最近は女の子向けのビーズアクセなんかもある。
 物珍しそうに近くにいた女子高生が覗きに来る。
 パンツは隠したまえよ、花咲く乙女。
 すらっとした兄ちゃんが上からカバンを覗く。
 床に小さなシートを広げ、そっちにはヘアーアクセと缶バッチをごちゃっと置く。
 僕は無言に座る。
 ちょっとした露天だ。
 そのうち、パンツのお嬢ちゃんがシュシュをもって、いくら?と聞いてきた。
 君可愛いから300円でいいよ、と答えると、彼女は4つ買っていた。
 いえいえ、どうも、縞々ご馳走様、と思ったのは内緒。