若返りの泉 TWENTY
6 高 校 生 活 点 描
剣道部の仲間たちと、奈良県若草山に遊びに行った。
名前の通り、一面に若草が茂った小高い山である。
野生の鹿がうろつく、なだらかな山である。鹿の排泄した小さくて黒い粒が点在しているけれど、誰も気にしない。座って談笑したり、ゲームをして遊んでいる。
何かのゲームをして負けた、罰ゲームだったと思う。
左手で右耳をつまみ、右手は左腕の間を通して真っすぐに伸ばし、介添えしてもらって前かがみで5回、その場で回る。そして直立して前方に進む。
どうなるか?
大地がいきなり迫ってきて、気が付くと地面に倒れているのだ。
自分はまっすぐに立って歩いているつもりなのだが、倒れてもなお立って進んでいる気になっている。
! 危険なのでしないでください !
やりたいという人が続いて、頭を地面に打ち付けた人が出て、終わった。
文化祭で生物部が展示していた、小石などが入った水槽にヘビがいた。
「さわってもええ?」
「どうぞ」
胴のあたりをつかんで持ち上げた。
ヒャッとして、いい感触だった。青大将である。
翌日からみんなに「へび女」と呼ばれるようになった。
地学部は、時々校舎の屋上に上がって天体観測をした。
誘われて参加した。初めて天体望遠鏡をのぞいた。夜10時ごろになっていたと思う。どんなのが見えたかは覚えていないが、遅くまで学校に友達といたことが楽しかった。
通用門はすでに閉じられていたが、みんなで協力して、高さ2メートル以上の門を乗り越えた。
3年生の3学期、このころは体を動かすことも少なくなり、寒い時期でもあって、外で遊ぶことがなくなっていた。
3年生担任の先生たちが凧を買ってきて、クラスに1つ与えてくれた。
昼休みの時間になると、みんな凧上げに夢中になり、滞空時間や高さを競うようになった。
風紀にうるさい先生から苦情が来た。
「電車からよく見えてみっともない。やめなさい」と。
私たちは再び教室にこもりっきりになってしまった。
作品名:若返りの泉 TWENTY 作家名:健忘真実