若返りの泉 TWENTY
4 動物から受けた虐待
家で犬を飼い始めたのは小学1年生のころだった。すべて捨て犬からで、もちろん雑種犬だ。
その頃の犬の飼い方はほとんど放し飼いで、家の出入りは自由だった。狂犬病の集団接種はあったが、動物病院は見かけたこともなかった。
1匹目の「シロ」は白い成犬だった。
拾ってきてまもなくのこと、縁側に座ってシロの頭をなでているといきなり、左目のすぐ下を咬まれた。
そして数日後、車にひかれてシロは死んだ。
だから、犬に咬まれたことの怖さは感じない。自分の死を予見して咬んできたのだと思ったから。
3匹目の「ジョン」は白に黒い模様が入っていた。
なかなかに獰猛で、両親や兄に対してはおとなしいのに、私はよく襲われた。お尻や太ももを咬まれた。
家に来た友達にも襲いかかったことがある。事なきを得たが、それ以降鎖で繋がれるようになった。
しかしどうかして首輪をはずし、外で近所の人を咬んだ。
知らぬ間に保健所へ連れて行かれていた。
大阪駅から1つ目の福島という所で生まれ育った。商業地である。
狭い庭だったが、金網を張った小舎を作り、ニワトリを飼っていた。田舎からもらってきたものだ。メンドリ2匹とオンドリ1匹。時々卵を産んだ。
オンドリは朝早くから鳴き声を出していた。
私の姿を見つけると追いかけ、ふくらはぎをつつきながら追い回してきた。
私は泣きながら逃げた。
「いやぁぁ、いやぁぁ、」と叫びながら。
それはしょうこりもなく、何回も続いたが・・
ある日、オンドリは私のおなかの中におさまっていた。
作品名:若返りの泉 TWENTY 作家名:健忘真実