若返りの泉 TWENTY
12 パンパンになった腕
「どうしたんやその腕、何か病気か」
と会う人ごとに問われた。
びっくりするのも当然。
左腕の手首から肩まで同じ太さで、普段の2倍にもなって腫れあがり、熱まで帯びて赤くなっていたのだから。
「昨日、蜂に刺されましてん」
ゲレンデである岩場で懸垂下降して着地した途端、前腕部がチクッとした。なんともなかったのだが、翌朝、腕はパンパンになっていたのだ。
その3週間前に、草の中を歩いていた時、足の付け根を3か所刺されていた。
「気色悪い、早よう病院行って来い」
課長のお墨付きをもらって会社を出た。
が、何科へ行けばいいのか分からない。1番近い総合病院へ行って、受付で尋ねた。
「さぁ?とりあえず皮膚科に行ってください」
「ハチに刺されたらこないになるんですか。初めて診るからどうしたらいいか分かりません。抗生剤でも塗っときましょか」
なんとも頼りない。
都会の医者だから仕方ないのかもしれないが、とりあえず抗生剤の塗り薬をもらい、タオルで冷やしておいた。
ひどい腫れは、翌日にはひいていたと思う。
作品名:若返りの泉 TWENTY 作家名:健忘真実