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律姫 -ritsuki-
律姫 -ritsuki-
novelistID. 8669
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君ト描ク青空ナ未来 --完結--

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空流が電話で敦也に言われたとおりに、部屋にあるものを探しながら応急処置。
ビニール袋に氷を入れて、指に当てる。
だんだん感覚がなくなってきたのか苦しそうに歪んでいた眉根がゆるんできた。
「よく考えたよね」
やっと樹が言葉を発した。
話せるくらいになったのならよかったと一安心。
でもその意味がよくわからない。
「俊弥さんが電話に出ること計算ずくだったんでしょ?誰かに連絡するなんていったのも外と連絡取るためだったなんて」
「え・・・」
そんな風に思われた・・・?
「そんなんじゃ・・・」
ただ、樹さんが苦しそうだったから。
その苦しみはきっと自分のせいでもあるから。
「本当に、樹さんが心配で・・・」
「その言葉もどこまでほんとだか」

ほんの少しだけ樹に近づけたような気がしていたのに・・・また遠ざけられた。

「ほんと、なに考えてんだか全然わかんない」
「わからないのは・・・樹さんの方です」
樹の声をさえぎるようにして空流が言う。
樹が少し驚いたような顔を見せて、空流に向き合った。
「へえ、なにがわからないって?」
「ここにつれて来られたのだってなんでだか全然わからないし、その後も」
「教えてあげようか?」
「え・・・?」
「なんで俺が君の事ここにつれてきたのか、なんであんなに優しくしてあげたのか。君だってまさかあんな演技くさい優しさ本当に信じてたわけじゃないんでしょ?」
「演技・・・?」
「なに、そこからわかってなかったの?最初は君に優しくして同情を引いて、落とすつもりだったけど、もういいや」
「なんですか・・・それ・・」
「君の事手にいれて、鷹島さんから君を全部うばってやろうとしたんだけどね」
「誠司さんが関係しているんですか・・・」
「じゃなきゃ君のことなんて気にかけるわけないでしょ」

助けれくれたと思ってた。
誠司さんとは違うやり方だったしちょっと強引だったけど。
自分のことをちゃんと見てくれると思ってた・・・・。

でも、この人は僕の後ろの誠司さんをみてただけ・・・。

「そんな傷ついた顔しないでくれる?」

「全部、演技だったんですか・・・?」
「そうだよ」

お互いに何も言わないまま時間が過ぎる。
その沈黙を破ったのは、空流の方。

「もう・・・いいですか?」
「なに?」
「こんなこと僕に話すってことはもうやめたんですよね?」
目から一筋だけ涙が零れ落ちた。
「もう、構わないでください」
部屋を出ようとした。
樹に背を向けて、ドアに向かって歩き出したときに腕を掴まれた。
「待ちなよ」
「まだ何かあるんですか?」
振り向かずに腕をつかまれたまま返事をする。
「俺はやめたなんて一言も言ってないけど?」
「これ以上、何がしたいんですか?」

掴まれた腕を引っぱられた。
「なっ・・」
ソファへと体が沈む。
その上に樹が覆いかぶさってきた。
手を押さえつけられて、自分よりも大きい体が上に乗っている。
まったく身動きが取れない。
逆光で自分の上にいる人の表情は全然わからなかった。
「君のこと全部奪うのはやめたけど、体だけでも充分な効果あるよね」
「なにをっ・・!?」
いいかけた言葉をさえぎられて口付けられた。
ほとんど抵抗も出来ずに舌が唇の中に入ってくる。
口の中で他人の舌が動き回る感覚が気持ち悪い。
手足を動かして抵抗しようと思うけれど押さえつけられている四肢はほとんど動かない。
ぎゅっと目を瞑るとまた涙が零れ落ちた。