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律姫 -ritsuki-
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novelistID. 8669
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君ト描ク青空ナ未来 --完結--

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25

「・・・質問が思いつかないです」
いきなり質問なんていわれてもそんなのわからない
「ききたいこと、ないの?」
「ないことはないと思うんですけど・・・」
「じゃあ待ってる」
本当に待ってくれるみたいで何も言わなくなった。
最初は状況が状況だったからこの人の印象も全然良くなかったけど、いまはそんなこともない。
この人はちゃんと話をしてくれるし、筋が通ってる。話を聞こうとしてくれている気もする。
一緒にいる樹ってひとはメチャクチャだけど。
なんで一緒に居るんだろう。

そうおおもって敦也さんをみると、目があった。
質問は決まった?と聞かれたから、聞いてみた。

「なんで樹さんと一緒に居るんですか?」
帰ってきた答えは簡単。
「友達だから」
互いの存在が互いにとってのメリットになるからでもあるかな、と付け足された。
よくわからない。
「メリットってなんですか?」
「っていう質問は俺の質問にこたえてからにしてもらおうかな。一つづつ、順番に聞いていこう」
そういえばそういう約束。この人が言ってることは、正しい。
「じゃあ俺から質問。鷹島さんとの関係は?嘘はなしだよ」
「嘘つく必要がありません。ただ助けてもらってしばらくお世話になりました、それだけです」
「本当に?」
「はい」
しばらく目を見た後、わかったと言って話を戻した。
「今度は空流くんの番だけど、さっきの質問でいいの?」
樹さんと敦也さんが一緒に居るメリットが何かって言う話。
肯定の返事をすると、敦也さんが話した。
「今回については、樹にとって俺は必要な情報源で、俺にとって樹は利用できる存在」
言われたことを良く考えてみたけれど、よくわからなかった。
素直にそう言うと、説明を付け足してくれる。
「君をね、あそこから連れ出すための情報はみんな俺が入手してたんだよ。どういう手段でかは言えないけど。そして、俺はある人にある事をわからせるために樹に協力してる」
「やっぱり、よくわかりません」
「わからなくていいよ、次は俺の番。次は仲原俊弥との関係を教えてもらおうかな」
「俊弥さんとは、最初はお医者さんと患者の関係でした」
「最初は?」
「治療が終ったら、医者と患者じゃなくなって俊弥さんって呼ぶようになりました」
「どういうこと?」
「どういう関係かって聞かれると困るんですけど、保護者と友達の間みたいな・・・お兄さんみたいな感じです」
「じゃあ俊弥と恋人関係ではないんだよね?」
「恋人関係?」
「キス、セックスその他もろもろを俊弥とはしてないよね?」
「当たり前です」
いきなり、この人はなんてことを聞いてくるんだろう。
そんな事実は一切無いのに恥ずかしくて顔が赤くなる。
「良かったような悪かったような・・・」
そういえば、この人はさっきから俊弥さんのことを俊弥って呼び捨てにしてる。
お友達かもしれないけど・・・それにしては歳が違いすぎるし・・・。
それに俊弥さんと僕がそういう関係じゃないって知って良かったとか悪かったとか言ってるからには、それなりに親しい関係なんじゃないかとは思う。
そういえば、僕はこの人のことを何も知らない。
「空流くんの番だよ」
この人が呼ぶ『空流くん』という響き。
さっき感じた既視感が少しだけわかりかけている気がする。

「あなたは、誰ですか?」
聞きたくない答えはあるけど聞いてみる。
「そんなんでいいの?なんかもっと自分の心配とか・・・って俺のこと聞くのも十分自分の心配か、知らない人間と二人は不安だろうしね」
そういうわけじゃなくて、さっき覚えた既視感の正体を知りたいから。
「名前はさっき名乗ったとおり。見てわかると思うけど大学生。医学部に通ってる」
そういわれても苗字はわからないまま。
「一ノ宮の人なんですか?」
「俺は一ノ宮じゃない」
「じゃあ、あなたの苗字は?」
そう聞くと、しばらくためらった後に、仕方ないか、と呟いていった。
「本名は仲原敦也。どこかできいたことある苗字かな?」
聞きたくなかった答えは、相手の口からあっさりと出てきた。