小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
律姫 -ritsuki-
律姫 -ritsuki-
novelistID. 8669
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

君ト描ク青空ナ未来 --完結--

INDEX|29ページ/159ページ|

次のページ前のページ
 

27

リビングのテーブルの上に、二つの箱があった。
まずは、空流に買ったと伝えた方の箱。
「開けてみてください」
そういって、自分で箱を開けさせた。

「すごい・・・」
箱を開けた第一感想がそれ。
「履いてみてください」
「いいんですか・・・?」
「もちろんですよ」

靴を床に出して、紐を通しながら履いている。
なれない作業に試行錯誤している姿は微笑ましい。

「できた!」
そういって、立ち上がった。
「よく似合いますよ」
空流くらいの年齢にその靴は少し大人びているような気もしたけれど。
それでも、少し履き慣らせば大丈夫な範囲だろう。

「この靴・・・すごく昔欲しかったのに似てて・・・でも買えなくて。今になって手に入るなんて本当に夢みたいです」
「夢じゃないですよ。そこまでよころんでもらえて嬉しいです。そっちの箱も、開けてみてください」

恐る恐るといった雰囲気で空流が箱を開ける。
開けて中を見た瞬間に、その表情が驚きに染まったのがわかった。

「え、なんでこれ・・・!」
「それも、プレゼントします」
「え、でも、これは・・・なんで誠司さんが!?」
なんで私がその靴を欲しがった事を知ってるのか、と。
その問には答えを言わずに軽く微笑んで加川の方を見た。
「あ、まさか、加川さん!?」
「ええ、大正解です。加川から空流がとても迷ってたと聞いていましたので。全然違うタイプのものですし両方あっても困らないでしょう」
「え、でもこれって・・・一足だけでもすごく高くて・・・」
「値段なんて、あなたが気にする必要はないんですよ」
「でも・・・」
「前も言いましたね、私がいいと言ったときは本当にいいんですよ。遠慮することなんてないんです」
「・・・はい」
「その靴で、ぜひ庭を歩いてみてください。今度の休日には、海の方に行ってみるのもいいかもしれませんね」
今度休みが取れるのが何週間後になるかはわからないけれど。
そうできるなら、無理矢理にでも休みを作ってもいい。

「加川」
「はい」
「空流の靴を玄関に」
「はい」
「あ、自分で行きます!!」
加川の返事を遮って、空流が言った。
その言葉に加川が返事をする。
「それでは一緒に参りますよ。場所がわからないでしょう?」
「あ、はい、お願いします」

そう言って二人でリビングを出て行った。
なんとなくリビングに一人取り残された形。
それにしても、私が留守中に加川と空流が仲良くなっているのが、なんとなく癪だ。
本当なら空流がこの家に馴染むことなのだから、いいことなのに。

とりあえず、着替えに部屋に戻るか。

そう思ってリビングを出たところに喜田川がいた。
「誠司さま、少しお話があるのですが・・・よろしいですか?」
「ああ。私の部屋で」
その話が良い話でないことは喜田川の顔を見るだけで明白だった。