小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
律姫 -ritsuki-
律姫 -ritsuki-
novelistID. 8669
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

君ト描ク青空ナ未来 --完結--

INDEX|110ページ/159ページ|

次のページ前のページ
 

22

翌日。
昨日うけとった清藍の教科書を眺めて、少しづつページをめくっていく。
けれど、中学の頃とは違い、そう全てがすんなりと進むわけではなかった。
「やっぱり難しいなあ・・」
一人ごちにそう言って、教科書を置いた。
参考書をめくるとわかる箇所もあるが、わからない箇所もある。
数学は教科書や参考書をみればプロセスがのっているから、そんなにわからないことはないのだが。
英語は中学までの知識で解くには限界があった。
国語も教科書の文を読むことはできるが、そこから先に進めない。

気付くともう昼を過ぎていた。
教科書を閉じて、何か作ろうかと冷蔵庫の中身を確認する。
今日も夜の食事は帰ってこないと聞いていたから、わざわざ買い物にでなくてもあまりもので良い。
・・・と思っていたのだが、最近そういう日が続いたせいか余り物すらほとんどなくなっていた。

買い物しなきゃ・・・。

そう思って買う物をメモしていく。
いちいち買う物をメモするのは、預かっているお金だから無駄にはできないという思いがあるから。
そのメモと下ろしておいた現金を必要だと思う分だけもって家をでようとした・・・。

トゥルルルルル トゥルルルルル・・・

電話が鳴った。家に備え付いているもので、鳴ったのは一度もみたことない。
だいたい電話がかかってくるのは誠司の携帯だけ。
「どうしよ・・・」
もしかしたら、誠司かもしれないけれど、誠司じゃなかったときは何ていえばいいのか。
出たほうがいいのか、出ないほうがいいのか・・・。

『ただいま、電話に出ることが出来ません・・・』

迷っているうちに留守番電話へと切り替わってしまった。
こうなったらもう黙ってみているしか仕方ない。
お決まりのお名前とご用件をどうぞ、の後にピーという電子音が鳴った。

『あれ、空流くんいるはずなんだけど・・・いないのかな?もしこれ聞いてたら電話とってほしいな』

電話から流れ出した声は仲原俊弥のもの。
「はい、います!」
あわてて電話に出て、苦笑された。

『久しぶり。元気だった?』
「はい、おかげさまで」
『突然で悪いんだけど空流くんは今日なにか予定ある?』
「いえ、ありませんけど」
『もしよかったら、ちょっと出てこない?俺も話したいことあるし・・・それから敦也も君にいわなきゃいけないことがあるってさ』
敦也さん・・・。
なんだかその名前を聞くのは久しぶりな気がする。
敦也さんは俊弥さんの弟で樹さんの友だち。
一ノ宮での事件のときにはとても微妙な位置に立っていた人。
結局よくわからないまま樹さんを送り届けた病院で別れて、それからは会ってない。
俊弥さんとも電話ですこし話しただけだ。
『もしだめなら、無理しなくていいんだけど』
断る理由はなかったし、あれからどうなったのかの話も少し聞きたかった。
「行きます」
『ありがとう。大丈夫なら15時に迎えにいく。着いたらもう一回電話するから家で待ってて』
「はい」
電話を切って時計をみると15時まではあと1時間半。
買い物にいって帰ってくるなら、充分な時間。
家事をしながら待つ時間はあっという間にすぎて、もう一度電話のコールが鳴った。