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律姫 -ritsuki-
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novelistID. 8669
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僕らの日常風景

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「あの、嘉山先輩、生徒会に立候補するにはどうしたらいいんですか?」
と、川口君。そうか、肝心のそれを説明し忘れてた・・・。
「えっと、3日後の28日までに、この用紙に名前と連絡先を書いて選挙管理委員会の2年3組村上君に提出してください。生徒会選挙に出られます。選挙といってもこの人数なら信任投票になるだろうから、みんなの前に出てちょっと演説をするだけですけど」
「ま、そんな大したことあらへんて」
柚木君が大げさに安心したようなため息をつく。
「あ、そうだ、先輩、上の名前聞いても良いですか?」
尚樹さんにそう聞くのは東君。
「・・・あー・・・。」
と尚樹さんが微妙な顔をする。
そういえば苗字はあまり言いたくない、と最初にあったときも言っていた。
「まー、俺だけ苗字言わんのはフェアやないしなー・・・。服部ゆーねん。でもコレでは呼ばんといて」
1年生が不思議そうな顔をしたけれど、東君だけはすぐに微笑んだ。
「尚樹先輩ですね。わかりました!」
「尚樹先輩、どうして上の苗字ダメなんですかー?」
柚木君が聞く。そういえば、僕もなんでダメなのか理由を聞いてない。
「ま、それは聞かんお約束やろ」
と尚樹さんが言うのに、ちぇー、といじけたように彼が言う。
川口君は会話にはあまり入ってない。
「川口君、なにか質問とかありますか?」
「雅人でいいですよ。俺も織先輩って呼んでもいいですか?」
「もちろん」
と、僕が言うのと同時に、
「あー!」
という大きな柚木君の声。
「な、何や、どないした?」
「すみません!俺もう行きます!5時半までには部活に戻って来いって言われてたのすっかり忘れてました!失礼します!」
バタバタと慌てて生徒会室を出て行く。時計は5時半を1分すぎている。
でもまあ主将が松下先輩なら、ごく軽いペナルティで済むだろう。きてた場所が生徒会なわけだし。
「さて、もう5時半を回ったし、そろそろお開きにしようか」
そう提案して、皆が席を立つと同時に東君があの!と声を上げる。
「どうしたの?」
と聞くけど、彼は僕じゃなくて尚樹さんの方を見てる。
「なんや、どうかしたんか?」
「すみません、尚樹先輩、ちょっとお話があるんですけど、外に出てもらってもいいですか?」
「ん、あぁ、別にかまわへんけど」
鞄を持ち、帰る準備を整えた東君の後について尚樹がドアの方ヘ向かう。
「嘉山先輩、失礼します」
「はい、さようなら」
「雅人くん、バイバイ」
「あぁ、また明日」

二人が出て行くと、生徒会室に川口君と二人で残された。
「織先輩、可愛いですよね、彼」
というのは、東君のことだろう。
「そうだね」
「多分、今、尚樹先輩に告白してるんですよ、助けてもらってからずっと好きだったって」
「え・・・?」
さっき感じた嫌な予感はもしかしてこういうこと・・?
松下先輩と尚樹さんの関係を聞いて安心したのは・・やっぱり・・・。
「どうかしたんですか?」
「ううん、なんでもないよ」
動揺を悟られないように、笑みを返す。
「でも、先輩もかわいいですよ?」
作った笑みは意味不明な言葉によって簡単に崩された。
「僕、先輩みたいに可愛い人、大好きなんですよ」
言われている意味が理解できない。
「先輩よく鈍いって言われません?」
情けないとは思うけれど、大正解。『鈍い・わかりやすい・古典さえなければ』はよく言われる言葉ベスト3だ。
「その上、わかりやすいですね。尚樹先輩と付き合ってるんですか?」
彼の言うことはまたも大正解だけど・・・どうしよう、正直に言ってしまって良いのか、それとも隠した方が良いのか・・・。
「答えなくて結構です、今の反応だけでわかっちゃいましたから」
即答しなかったってことは、遠まわしに肯定しちゃったってことになるのか。
「ま、僕は織先輩が先輩とどういう関係でも別にいいんですけどね」
話の進み具合がよくわからなくて、固まっていると、彼は勝手知ったる様子で内側からドアの鍵を閉め、全てカーテンを閉めて電気を消した。外からの光がカーテンでは遮れきれなくて、ある程度部屋の中は明るい。
「え、何してるの・・?」
「やっぱ、鈍いんですね」
どちらかと言うと今の質問は、今僕が予想していない事を答えて欲しくてした質問だ。
「こういうことですよ」
と言って、彼が僕の顔後ろの壁にの両手をつく。
目の前にある綺麗な顔。最近これと同じような事を体験したけれど、全然ちがう。
松下先輩のときとは、怖さが全然ちがう・・足がすくんで、体が動かない。

作品名:僕らの日常風景 作家名:律姫 -ritsuki-