伝説の……
H:hoop――わわわわ~
雨の中は一人じゃ大変だからって声を掛けても、せっかく反省して謝っても聞いてないし!
あんな男、もうほっとけばいいんだ。とーへんぼく。
そもそも、なんでいままでずっと、助けた側のわたしが雨の日までわざわざ面倒みてたのかしらね。ふ~んだ。今頃きっと身動き取れなくなって後悔してるに決まっているんだから。あんぽんたん。
傘だけは置いてきてあげたけど、アイツが一人だと帰れないことはお見通しよ! ビショ濡れのわたしの背を見て、心を痛めなさい! 泣いて謝ってきたなら、一緒に帰ってあげてもいいけどね!
「おーい、アキ!」
ほら、そうよ、わたしがいなくちゃ雨の日には何もできないんだから、泣いてすがりなさい! ひれ伏しなさい!
「透けてるぞーーーっ!」
……っ! ……っ、っ!
「バカバカバカ! もう二度と謝らないから!」
もう、本当にバカ! 泣いてなんかいない。視界がにじむのはみんな、雨のせい。全部、あのバカのせい!
ずっと指にはめてるのに、気づいてすらくれないなんて。もう、ダイヤはついてないけど、それはわたしの自業自得だけど、ずっと指にはめてるのに。わたしのことなんて、もう見てくれない。前は、三つ編みが下手だとかリボンが派手だとかうるさかったのに。
ぐれてやる。