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伝説の……

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D:diamond――叩くと割れます


 アイツは素直じゃないの。まったくもって可愛げがないし。まぁ、昔からずっとそうなんだけど。
 いくら見つからなかったからって、四つ葉のクローバーの代わりがシシトウなのはどう考えてもオカシイ。たとえるなら、打ち上げ花火から白い鳩が出てきたような感じ。きょとーん。……おかげかどうか、辛いオジヤで汗かいて熱は下がったけどね。
 そのうえ、冷めたフリして変なところでカッコつけてるのよアイツは。突然、洋楽なんて聞き出したりして。英語なんてさっぱりわかんないくせに、さ。自分だってせいぜいMDウォークマンが関の山のくせに、わたしの枕元にあったカセットテープをバカにするなんて!
 MDなんて、B面がないじゃない!
 それに、幼馴染のわたしにさえ内緒でバイトなんか始めるし。それにそれに、高校生の分際でダイヤモンドなんて大層なものを買おうとしてるし。どうせ安物に決まっているし、別に誰にあげようとわたしの知ったこっちゃ無いけど。
 とりあえず今から、「ついうっかり転んだ拍子に、ハンマーでダイヤモンドを叩き割る」練習でもしておこうかなぁ。ダイヤモンドは、堅いけど叩き割れるっていうのは豆知識ね。転びながら指輪サイズの的を精確に叩くのが難しいんだけど。
 えっ? 違う違う、人の恋路を邪魔しようとかそういうのじゃなくて、ほら、人の心を物で釣ろうっていうふしだらな考えを、幼馴染であるわたしが責任を持って、文字通りに叩き割ろうと思うの!
 ね、ちょっとだけ協力して?

作品名:伝説の…… 作家名:空創中毒