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伝説の……

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Q:quiz――答えを忘れてくるな


 完敗だ。いや、むしろ負けでいいや。そもそもなんでアイツはジブリのキャラクター絵で、こちらは完全な白無地ジグソーなんだ。男のプライドとしてそれくらいのハンデに腹を立てたりはしないが。それと、アキのあの慣れた手つきは何だ。まるで三日間くらい特訓したかのようなあの目の動きは。
 途中からどうでもよくなって、楽しそうにジグソーパズルを埋めていくアイツのことをずっと見てた、なんてのは秘密だ。絶対の秘密だ。この決闘だか勝負だかに見届け人がいなくて助かった。
 何だかんだいっても、俺ってばだいぶ危ない人間なんじゃないかと不安になってきたな。ただでさえ大袈裟なくらいに水恐怖症だし。悪友連中がネタにしてくれる分、気が楽なんだが、女から見たら厄介この上ないだろ?
 プールも海も却下ってのは、なぁ。おまけに雨が降ったら幼稚園児以下の行動力になるし。世話が掛かってしょうがない。
 とかなんとか考えているうちに、アイツはあっさりと絵を完成させて、大いに胸を張って勝利を宣言した。記憶の中にある以上の胸の膨らみに、ドキリとする。
 今まで意識してなかった分、顔が一気に熱くなるのが自分でもわかる。そういえばさっきから「一つの部屋」で二人きりなんだよなぁ。…………。それ以上、考えちゃ駄目だ。ダメダメだ。フィボナッチ数を数えよう。1、1、2、3、5、8、13。OK、俺はまだ大丈夫だ。
 しかし、あと二つも何で決闘するんだ?
 と思ったら二回戦はクイズだった。この調子だと、最後はジャンケンでも驚かない。
 しかしアイツはアイツらしくも、難しい問題を用意してきて答えを忘れてきたらしい。
 代わりに俺が問題を出して、アイツが答えて、正答数で勝ち負けを決めるという。それなら、一問でいい。
 Q、俺が好きな人は誰でしょう?
 決着は最後の一戦に持ち越しとなった。

作品名:伝説の…… 作家名:空創中毒