伝説の……
P:piece――まずは四隅から
何を隠そうわたしは今朝までの不良伝説の間、ひたすらジグソーパズルを解いていたのだ。だってサボタージュって暇なんだもん。おかげで途中からはわたしのジグソー熱に火が点いて、不良も伝説もほったらかしで片っ端から解きまくっちゃった。
「あなたの真剣な瞳、百万ドルの夜景もひれ伏す輝きよ」
「あっちゃんのその、熱しやすく冷めやすいところもロックだぜ!」
親友の二人からも励まされて、お墨付きのジグソー力よ! つまり、準備万端なのよ。
対する敵は疲労困憊で夢見心地。お腹も減って力も出ない。アンパンも食パンもカレーパンもジャムもバターもチーズも、ここには誰も助けには来ない。だって二人きりだもの。完全にわたしが勝負の流れを握っているわ。当然、油断もしない。さらなる保険も掛けてある。何が何でも、勝つために。
それぞれに箱入りのジグソーを持って、広い体育館の床にポツンと二人、向かい合わせで陣取る。
決闘らしく、コイントス!