伝説の……
O:ocean――誰だよ、塩をぶちまけたのは
見慣れないカッコをした見慣れた顔の幼馴染と、今俺は体育館で向き合っている。どうやら俺は決闘をしなければならないらしい。夜の校舎に独りきりで、大して睡眠は取れていない。三日間、水と菓子類しか食べてない。決闘の相手はケンカ中の幼馴染で、どうやら俺は惚れている。
…………勝ち目がない。
目の前の、元気に準備体操をしている天然娘になんと言えばいいのか。そもそも男女で決闘なんて、何をすると言うのだ。もしかしたら俺は、何日も特殊な生活をしていたせいで、頭のネジをなくしてしまったのではないだろうか?
今目の前に広がる光景が夢だとしても不思議はない。むしろ夢であってほしい。
だが、現実は厳しかった。
「当然、決闘っていうからには3ラウンド戦ね。最初はジグソーパズル早解きだから」
どこからともなく千ピースのジグソーパズルを引っ張り出してきて、真剣な顔で彼女は言う。
「わたしは、手加減しないわ。だからあなたも、全生命を賭けて戦いなさい! ただし、塩だけは送ってあげる」
彼女はそう言い切ると、2キログラムお徳用食塩を取り出して(どこに持っていたんだ?)、俺に渡してきた。何故かすでに口が開いていて、体育館に点々と白い道が出来ている。あぁ、部室からか。何で部室にあるかはわからんが。
「……重かったんだから! 多少、引きずった時があってもしょうがないでしょ!」
誰か、命懸けでジグソーパズルを解く術を、俺に教えてくれ。