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情緒的偏光眼鏡生活

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早瀬 恵の友人関係


 恵は、自分の容姿を改造しようと決意した後、まずネット上の友人を頼ることにした。自分の現在を改善したいと一念発起したはいいが、元来持っていた恥じらいの気持ちを捨てる事が出来ず、当たり障りの無いファッションの話題をギルドメンバーに振って、自分のファッションセンスがどれ程の物かを確認していたのだ。自分が今持っている、自分を着飾る為の知識をさもそれが当たり前かの様に話し、ギルドメンバーがどういった反応をするか聞き回った。
恵は見事に虚栄心を発揮し、美容室に1月ペースで通うのは当たり前、化粧品はここのブランド以外信用出来ないなど、自分が知っている限りの、頭の中にあるオシャレの理想像を話しまくった。今の恵がこの内容を聞いたら、七転八倒するのは間違い無い位、バイアスが掛かったカスカスの知識だった。
 しかしギルドメンバー達は不思議と、ファッションの話題をしきりに振り出した恵を、ギルドで1番の洒落者として扱う様になった。それもその筈だ。ギルドに集まっていたのは殆どが廃人で、恵以上に容姿のことなど気に掛けていない人間達ばかりだったのだから。
恵は、その中ですくすくと、誤った自信を育て続けた。やがてギルドでのオシャレクイーンの称号を戴き、有頂天になっていた恵は、そのバイアスばかりの知識で一所懸命に着飾った。ファッション雑誌は、当時の恵には眩しすぎて見られなかった。
 自分改造計画を始めてから半年ほどすると、恵のファッションの方向性は決まっていた。限りなく独創的で、間違った方向に。今見返せば、まるで中学生が背伸びをしている様に痛々しい。折角買った眼鏡も、ただの色物に成り果てていた。しかし恵はそんな事には気付かない。
 ある時、自分自慢をするためにある友人と会う事にした。その人物は高校時代、恵の容姿を表立って馬鹿にしていた元友人で、高校を卒業してからは連絡も取り合っていなかった。
恵はこの人物に大変な劣等感を抱いていて、ギルドメンバーに時々愚痴や批判をこぼしていた。しかしギルドメンバーは同調し「それはクイーンが正しいに決まっている、会ってそいつの間違った価値観を叩きのめしてやって下さいよ」と煽ってきたのだ。図に乗った恵は、友人に会って見返させてやると、高らかに宣言し、再会する次第となった。
作品名:情緒的偏光眼鏡生活 作家名:折戸 黄