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里美ハチ犬伝

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◆御開き



 テーブルには、トマトとゆで卵が供えられたキャベツの千切りがメインのサラダと、朝食でも飲んだビタミンDが配合されたスーパー牛乳、そして本日の主役であるパルメザンチーズ、カマンベールチーズ、ゴルゴンゾチーズの三種のチーズがトッピングされたチーズカレーライスが並べられていた。

 莉奈は、晩御飯の準備が整え終わると、

「里美、あなた。出来たわよ」

 莉奈の呼びかけに、二人は一目散に椅子へと着席した。
 そして手を合わせ、声を揃えて、

「「「いただきます!」」」

 スプーンを手に取り、勢い良く口にカレーとライスを掻っ込むんだ。口の中にカレーのスパイスの刺激と味、そしてチーズのコクが染み渡る。

「美味い!」

 朗のシンプルイズベストの褒め言葉に、莉奈はにこやかに笑う。
 里美もスプーンを動かす手は止まらない。

 その時、テレビから放映されるコマーシャルにふと視線を向けると、その手をピタっと止め、「あっ!」と立ち上がり、テレビの前へと駆け寄った。

 里美の意表な行動に、

「ど、どうしたの里美?」

 莉奈が声をかけると、里美は笑顔を浮かべ、テレビを指差した。

「ママ、パパ。見て! ハチがテレビに出ているよ!」

 莉奈と朗も「えっ?」と驚き、慌てて席から立ち上がり、里美と一緒にテレビを注視した。

 そこには、ハチとそっくりの真っ白い犬が“お父さん”と呼ばれ、家族に囲まれ一家団らんで過ごしていた。

 それは、とある携帯電話のCMだった。
 だが里美は、そのことを知ってか知らぬか、ハチが言っていたことが本当だったことに感無量だった。

 朗と莉奈は顔を見合わせ、無邪気に喜ぶ里美の純真さに笑ってしまった。里美は、両親が笑うを気にせずに、テレビでハチの様子を見れたことに心弾まていたのであった。

 終わり



作品名:里美ハチ犬伝 作家名:和本明子