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Zero field ~唄が楽園に響く刻~

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6唱、独立した旋律



「こんな奴らで俺らが止めらると思ってるのかねぇ…。
 あのお国のお偉い王様は…」
少女の姿をした者が苛立ち気味に言った。
「思ってないんじゃないかしら?たぶん、揺さぶりよ。
 私たちに戦争する気はないけど、揺さぶればその気になるだろうって揺さぶり。
 そのつもりなんでしょうね向こうは、まぁ間違っても戦争して私たちの神玉まで持ってかれたら話になりませんわ。」
と、大人びた声が冷静に少女の姿をした者をなだめる様に言った。
少女の姿をした者は舌打ちをして大人びた声の主に近づいていった。
周りはセントバイトの兵の血で真っ赤であった。

ショウ達は、オクトリクスに着くや否や肩から腰までの自由を縄で奪われている男を、最初に立ち寄った道具屋の伯父さんに託し、ショウ達はそのまま真っ直ぐ港に向かった。
その港で手続きを終えると、出発は明日になると言う。
それまではオクトリクスに足止めを食らう事になった。
「っと言うわけで、私たちは宿取ってくるね〜。」
と明るい声でテンはショウの腕を掴んでイナとバルトの許可も得ずに歩いて行ってしまった。
イナとバルトもそれぞれの事をすることにし“夕方に宿屋で”と言う暗黙の了解があった。

「なんで俺まで一緒に行かなきゃならないんだよ…」
ショウ眉間にしわを少し寄せてテンに不満気に言う。
それをテンは見事に無視する、そして、ショウは諦めた様子でため息をつくと
「ぁ〜、これほしいわ〜!」
「おぉ、おねぇちゃんいいもん選ぶね!どうだい?そこの彼氏とペアルックでどうだい?安くしとくよ!」
お土産屋と思われる鼻の下に、先がクリッと丸まったひげを生やした親父が言う。
ショウはその親父を胡散臭そうに見つめる。
親父はそれに気づいたのだろう、ショウを見て、
「別に何の細工もねぇ、ただの芸術作品だよ!値段も見てくれよ!決してぼったくりな値段じゃねぇだろ?!」
確かに、この親父が出してる商品は全部値段に相当するような質と形だ。
全く非の打ちどころのない、真っ当な商売人であるが、ショウはそうじゃなく、テンの彼氏と見られたことに、納得がいかないようで、胡散臭そうに見つめていただけである。
テンはと言うと、親父の言葉を聞いた瞬間、顔を赤らめてしゃがみこんで商品のペンダントを見つめ続けている。
ショウは、深呼吸して、ふぅと息を吐くと、テンがさっきからずっと見つめている商品を2つ取って親父に値段を聞いた。
ありがとよ!と言う威勢のいい声を背にショウはテンを連れて宿屋を目指す。
テンは顔を赤らめながらショウの後ろをついていく、途端に昼は人通りが少ない宿屋地帯に来るとショウはクルッと体をテンに向け、ショウはさっき買った、赤、緑、黄の3つの真珠のついた小さなペンダントを首にかけてやる。
テンは突然の事で赤面する。
ショウはもう片方の白、黒、紫の3つの真珠のついた小さなペンダントを首にかけた。
このペンダントは、2つで一つになるようくっつく様にできている。
くっ付けた場合その形は0になる。そして、重ね方を変えるとハートに見えないでもないデザインだった。
その後赤面したテンを連れて、宿屋をとったショウはベッドの横に座って仮眠することにした。
テンはと言うと、部屋に入るや否やベッドに入って寝込んでしまった。だから、遊び相手のいないショウは仕方なくそのベッドの横で仮眠することにしたのだった。

「何しようかな〜」
空を仰ぎながら歩いてイナが小さな声で呟いた。
さっきからイナの後ろをつけてくる精霊に一度眼をやる。
イナはその精霊に手招きして肩に乗せると再び歩き出した。
この精霊の名はフェニックス、ショウが付けた名だった。
決して鳥と言う姿をしていない、むしろ子竜の方が合っている、あえて言うなら翼と尾が鳥っぽいってだけである。
「フェニックス〜ショウ兄さんは何でわざわざ神の名前をお前に付けたんだろうね〜?」
とイナは肩に乗っているフェニックスに言うが、フェニックスは頭を左右に振ってすっかり散歩を楽しんでる風だった。
かわいい、とイナが小さく言うって、ふと気が付いてみると、港町の中央広場の噴水が前に合った。
フェニックスはそれに飛び込んで、遊び出した。
イナはそれを眺めて、楽しんでるフェニックスを見て楽しんでいた。
ふと後ろを通った追いかけっこをしていた子供が、フェニックスに気づいて
「あ〜!精霊さんだ!」
と言うと、フェニックスは子供に近づいて行って子供たちと遊び始めた。
イナの体の年は10である、遊んでる子供たちを見ているとイナの体は遊びたがっていた。
イナはその子達に交じって遊ぶことにした。
案外楽しいと時はすぐ過ぎてしまうもので、あっという間に夕方だった。
イナは子供たちに別れを告げ、フェニックスを抱えて小走りで二人の待つ宿屋に向かった。
そのイナの顔は満面の笑みだった。

「はぁ…どうすっかな…」
バルトは港の岸に足を投げ出して座って呟く、すると後ろから女性の声がする。
「どうするもこうするもないわ、ちゃんとしなさいよね。」
それはショウ達のよく知る人物の声だった。だが、それはショウ達のよく知る声の調子ではなかった…。
バルトはそれに頷いて、女性が横に座るのを待った。そして、女性はバルトの横に腰かけてバルトと話し始めた。

仮眠とは不思議なもの、浅い眠りなもので、外界の出来事に敏感になってしまうがどうしても危険を感じないときは目を開ける気になれないようだ。
「イナか、どうした〜?嬉しそうにドアを開けて、何かあったか?」
ショウはイナを見ていないので、ドアの開けた時の音と雰囲気だけで判断した。
イナは今日あったことを話し出した。
それはバルトが宿屋にきて、夕食を食べてる時も、我を忘れて楽しかった時間の事を何度も何度も話した。
ショウ達はそれをにこやかに聞いて、イナが寝るまでショウとテンは付き合ってやった。
「かわいいわね、まるで子供ね」
とテンがフェニックスを抱いて眠ったイナの顔を見て言う。
「そうだな、こいつ、子供でいいんだよな、俺らと同じデステニアってことが…」
そのあとはショウは悲しげな顔をして俯いた、テンはそれを見て背中をさすった。しかし、結局と言うものの、テンがショウの膝の上で眠る格好になった。
ショウ達は二人で思いつめた時、最後は、テンがショウの膝の上で寝る格好になってしまう。
それは、テン達が出会ってからの習慣であるからだ。
ショウもそのままテンの肩に手を置いて、仮眠することにした。

「なんでショウは眠らないの?」
それは小さな女の子の声、心に響き渡るような声だ。
ショウと呼ばれた小さな子どもは、自分でさえも不思議そうに
「なんでなんだろう…誰かに、大切な人を守れ、って言われたような気がしたんだ」
だから寝ないでテンを守るんだ、と元気よく答えた。
それは満面の笑みだった。
純粋な笑顔、それはテンと呼ばれた小さな子どもさえも笑顔にした。
木に寄りかかったショウと呼ばれた小さな子ども、その膝の上でテンと呼ばれた小さな子どもは大事に見守られて二人は眠っていた。
・・・そんな夢を二人は、見ていた。

「そう言えば、私たちって、出会うまでの記憶ないよね〜」
と、テンがもう、どうでも良さ気に言った。