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Zero field ~唄が楽園に響く刻~

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イナは白目をむいている…大丈夫なのかとショウは不安に思ったが、今のショウにはどうすることもできない。
男は右手の人差指と小指を立てていた、それが術を形成させているのだろう。
いわゆる魔方陣、その術は、人を動けなくして操る、操芸術の一種だろう、男はまだ動かすまでできないようだ。
しかし、完全にここにいる皆の意識と自由を奪う事は出来るようだ。
だが、その術は一瞬にして解かれた。それは、1匹の精霊によって右手の形を解いたからである。
「なんだって言うんだ!」
男の叫びが響き、そのあとは簡単だ、自由となったショウとバルトは一気に男を抑え込んだ。
「危ない危ない…しかしまだ頭がパーだな…」
バルトはそう声をもらした。

「しかし、あんたも馬鹿ね〜、私たちからあなたの事を忘れさせることはできたのに、何で他の事を忘れさせなかったのかしら?」
とテンがバルトの前を歩く縄で肩から腰までの自由が全くない男に聞いた。
「できなかったんだよ。
 そいつはどうやらまだ半人前なようだし、それに、操芸術は意識を奪うだけにしか過ぎない。それに、この人数じゃ記憶の方を縛るには相当の魔力と集中力を必要としたんだと思う。
 だから、自分の事を忘れさせることしかできなかったんだと思うぜ。
 それに、記憶束縛は両手を使う高度な術だから、俺達はこいつに意識を奪われる直前、思い出せたんだ。」
みんなショウを眼を見開いて見つめていた。
ショウの肩には昨日助けてもらった精霊が乗っているがそんなことよりも、操芸術を使えるわけでもないショウが、操芸術に詳しい事が驚きのようだ。
男のセリフをショウは完全に持って行ってしまったのである。