Zero field ~唄が楽園に響く刻~
国内の町や村の事や、国内の魔物、外交の事も、全て私に話が回ってくる様になりましたわ。
でも、私はセントバイトの事を、部屋に突然現れた情報屋名乗る者から聞き、私は行動を起こす事にしましたわ。
けれど、やっぱりホントセントバイトと関わると、楽しい事なんて全然無いんですわ…」
と話が終わったようで、サラが口を開いた。
「やっぱり、お偉いさんはお偉いさんで色々あるのね」
「話はまだ終わってませんわ」
「ごめん、一つ殴らせて」
「お前らもGeneretorなら話は早い。
俺もシオンもGeneretorでな、ちょっと前に行動派が増えたって聞いてな、国から出てきたって訳なんだが、それお前達だろ」
と言うレオンの話を真面目に聞いているのは、ショウとイナとフィルだけであり、他のテン、リョウ、サリナ、サイスは自分の事をやっていて話を聞いていない。
テンはショウの膝を枕にして眠っており、リョウは珍しくフェニックスと遊んでおり、サリナはGeneretorじゃないからと言って本を読んでいる。
サイスはソワソワして話についていけていない。
「あぁ、俺たちのほとんどはGeneretorだけど、ここのサリナとサイス、フィルはGeneretorじゃ無い」
ショウの補足を聞いたレオンは腕を組んで頭を上下させる。
「あー、その事なんだが、Generetorってのはどうやったらなれるんだ?」
とフィルが少し右手をあげて質問をした。
それを見たレオンは少しポカーンとしていたが、ショウもイナも何も言う気配が無いようで、と言うよりむしろレオンに面倒を押し付けるような視線を送っている。
レオンはそんな二人の視線を受け、しぶしぶフィルに説明する事にした。
「Generetorってのは、簡単に言うと世界を思う気持ちがあればいいんだ、今Generetorの全体の目的は、セントバイト…禁忌の国の王の目的を打ち破る事。
その意思を持って、情報屋に行き軽い儀式を行って後は登録すればそれでGeneretorになれるさ」
と聞いたフィルは、少しボーっとしていた。と言うのも、情報屋などとは普通の人々は耳にする事無く一生を遂げる事が多いのである。
フィルものその中の一人であり、情報屋などがあるとは知らなかったのである。
「あー、情報屋って言うのはね、Generetorが運営してる、いわゆるGeneretorの情報拠点なのよ」
と困っているフィルと見て、イナが苦笑して補足する。なんだかんだ言ってやはり仲は良いのかもしれない。
フィルもそれを聞いて、納得したような声を上げて、イナに短く感謝した。
「そんで、明日からポーテリッツに向おうと思うんだけど、なんてったっけ、二人の男女ペアと一緒に冒険しろって言われたからさ、それてやっぱお前とその寝てる女だろ?」
レオンが相当あやふやに何かを思い出しつつ言葉を続けていく、ショウは少し考えるようにして口を開いた。
「まぁ、多分それは俺たちの事だとは思うし、俺たちも次はどこに行こうか考えてたところだし、一緒に行ってもいいぜ」
「一緒ならどこでも…」
ショウが機嫌よく了承すると、テンが寝言を言ったので4人は少し笑い、話をまとめる事にした。
「明日、ここを出てポーテリッツに向う、そこでシオンと合流したいと思ってる」
「俺は構わないけれど、お前元々なんか別の目的でシオンって奴と別行動してたんだろ?」
と言うショウの質問に、レオンはすっかり忘れていた事に気付き、夜と言うことを忘れ勢いよく立ち上がり叫ぶ。
「しまったあああああーーーーーーーーーーーーーー!」
その後、起きたテンと読書の邪魔をされたサリナの手によりレオンは袋叩きに合った。
ショウとフィルとイナはそれをとても、それはそれはとても微笑ましくその光景を眺めていた。ちなみに、隣でサイスが恐怖におののき肩を震わせていた。
「うふふ〜、ふっかふか〜…きゅっふふ〜ん」
クロナが布団に飛び込むや否やとても変な声を出している。
クロナはどうしてもこのふかふかのベットがお気に入りなようで、枕を抱きしめてベットの上でごろごろしている。
結局あの大会はクロナの完全勝利で幕を閉じた。だが、クロナは最後の最後で完全に後ろを取られてしまい、パームがへまをしなければパームの勝利だったのだ。
弐天のクロナでも一瞬でも負けそうになった相手、これではセントバイトもアルセートレートを放っとく訳にはいかなくなったのである。
しかし、そんなことは、クロナにとってはむしろ好都合でしかなく、この事を素直に上に報告するような事はせず、それ以上に軽い援助をする。
クロナは命令を受けた国は滅ぼすが、それ以外の国はたまに出かけてはその先でいい人材を見つけては、Generetorに勧誘していると言うセントバイトの対抗勢力を強化している。
クロナは情報屋の中でもトップシークレットにされる扱いで、仮にもGeneretorであり、セントバイトの内情などを提供しているのである。
もちろんこんな事が知られてしまえば、クロナはただでは済まないだろう。
「食らえぇ!クロナンダイブゥ!」
と叫びつつ、ベットに向かって飛んで倒れこんでフカフカしている。
ある意味これは中毒とも言えるかもしれない。むしろ、これは狂ってると言う方が合ってるのかもしれない。
そんな感じの事を色々とやっていると、ドアがノックされた。
「はぁい?」
クロナがドアを開けて、外に立っている人の姿を見るや否や、クロナは扉を勢いよく閉めてしまった。
閉められた相手は、酷く驚いた様で、「ちょっとー!」などと怒ったようにも思える。
クロナは少しだけ開けて、顔が見えないように話をする事にしたようだ。
「え、えっと、用はなんでしょう?」
クロナは何故か声色を変えて相手に話しかけている。
「すみません、貴方の部屋の下の者なんですけど、ちょっと騒がしすぎます、眠れません」
と宿屋では良く起こる苦情がまさしく、クロナに向けて言われたのであるが、この声にクロナは覚えがあるのだ。
しかし、なるべく関わりたくない様で、今こうやって顔を見せず声で誰か分からせない様にしているようだ。
そんな事は結局のところ、無駄な努力にしかならないのが世の常である。
「すみません、これからは気をつけますので……おやすみなさーい」
とクロナがドアを閉めようとした時、向こうから少し驚くような声がした。
「え?もしかしてクロナさん?」
そういって無理やりドアを開けたのはサニーだった。
「あ、あら、奇遇ね」
クロナはその後、夜遅くまでサニーと話をする羽目となった。
「シルフィーの情報回収完了しました」
「ご苦労…下がれ」
兵士が膝を付いて王座の前に立っている黒髪の男に、少しビクつきながらも報告にやってきたようだ。
男は少し笑うと、兵士を下がらせると、懐から人物リストらしき物を取り出してきた。
それを次々と流れるように眺めていくと、とある一人の人物のページを特に注意して見ている。
「どうした?またいい感じの適合者になりそうな奴でも居たか?」
シャンデリアの上で笑う少年の声が男に向かって降ってくる。
その声を聞いて笑いを急にやめると、男は王間を後にするべく、扉に向かって歩き始める。
作品名:Zero field ~唄が楽園に響く刻~ 作家名:異海 豹