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Zero field ~唄が楽園に響く刻~

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エイトは思いのほか剣をすごいスピードと剣捌きでツイーリの槍に押され気味ではあるものの、渡り合っている。
小さくなければ槍の餌食となっていてすぐに終わっていただろう。
サリナと言うと、ツイーリとの格闘戦となり、押している。
ある程度してからサリナが、フェイントをかけ、ツイーリの肩に乗ると、勢いよく跳び、もう一人のツイーリの背後まで跳んでいくと。
「ポーちゃん!」
と叫び、右手の手の平を地面に押さえつけると、サリナの後ろに召喚文字が空中に浮かび上がり、そこから、
「ぐぎゃあああぁぁぁ…!」
ととても大きな雄たけびを上げて、現れたのは名前に似合わぬサリナの倍ほどある大きさの厳つい熊である。
その熊はビースト(猛獣型)の魔物だが、サモナー特有の契約により、一部の魔物を従え召喚する事ができるのだ。
ポーちゃんは勢いよくツイーリに突っ込んでいった。
エイトは上に飛んでポーちゃんの頭の上に乗る。
ツイーリはと言うと慌てて横に飛んでかわした。
もう一人のツイーリをしつこく追い掛け回す事となったポーちゃんは、それからずっとツイーリを追いかけている。
「まさか、契約召喚と盟約召喚を同時に発動してるなんて始めてみたわよ」
と少し息を切らせている槍を持っているツイーリは、追い掛け回されているツイーリを見て一気に走り出すと、
「アイシクル!」
ツイーリの横の地面から2本の大きなツララが発生し、ポーちゃんを狙いポーちゃんを貫いた。
ポーちゃんは大きな断末魔を上げると消滅しエイトだけが寂しく飛んでいた。
サリナはその間もせっせと地面に何かを書いていて、ツイーリが次サリナを見た時には腰に手を当てて立っていた。
汗だくで息も絶え絶えの方のツイーリは結構長い間恐ろしく速い熊に追い掛け回された事になる。

「テン、あの熊どう思う?」
「どう見ても怖いしあのスピードってデタラメじゃない?」
ショウが口の端を引きつりながらテンに質問すると、テンも同じ様な顔で答える。
ショウが塔の出っ張りに座っており、そこに跳んでこれたのはテンだけである。
ファナは高所恐怖症とのことでここは嫌らしく、ショウとテンを涙眼で見上げている。
ツイーリは全力疾走しているように見えていた。
何度かツイーリは横に跳んでかわしてはいたのだが、恐ろしい旋回力と速度でまた襲ってくるので逃れられなかったのだ。
「しかし、今度は何出すつもりだ?」
と少し楽しそうにサリナの書いている召喚文字を見ていた。
と言っても結構距離があるので大きな召喚を文字を書いているだろうというのしか把握できない。
「さっきの熊より大きい奴だったりしてね〜」
と笑って言っていると、熊はツイーリの魔法であえなく1撃で消滅させられた。
召喚術で呼び出された魔物は魔力体で魂のみなので、その魔力体が持たなくなれば魂が元の体に戻っていくのだ。
その為サリナはケロッとしている。そして、腰に手を当てていたサリナが急に飛び跳ねて喜びだしたかと思うと、サリナの後ろの地面が口を開いた。
穴のような渦巻くそれから8本の足が順に地面に足を付けていく。
この時点でテンは何か想像できたらしくショウの胸に抱きついて顔を埋めた。
穴は半径5メートル近くあり、紫色の霧がかっており、その下を見ることはできない。
ツイーリはどう見ても驚いており、二人してビクビクしながら戦う構えをしている。
どうやら現時点では足が動いてくれないらしい。
妖精がサリナの傍に行き、サリナと一緒に喜ぶように空を飛んでいる。
8本の足が出切った後、勢いをつける様にしてからすごい勢いでクモの体をあらわにした。



.おまけ.

「よし、今日はちょっと魔物について勉強してみようと思う」
そこは学校の教室、教卓に立つのは16の赤い髪の少年だ。
普段付けていないメガネをかけているが伊達めがねだ。雰囲気作りだろう。
「え」
「…」
「なんで私まで…」
「ショウの授業ってどんなのかしら」
「zzz」
「何故俺がここに!」
と思い思いに声を上げる教室にキチンと並べてある机に座っている生徒達。
「えっと、静かに、言いたい事ある人は挙手にて受け付け〜」
とめんどくさそうに黒板を木の棒でカツカツと叩いて呼びかける先生。
その中、体格のいい30近くの男が手を上げた。
「よし、んじゃ授業の方だが…」
「ちょっと待て!説明しろ!何故、俺が生きてる!」
「了解、説明行くぞ〜。その前に席順を皆に公開だ」
とめんどくさそうに呟…「いいけど、席順読んでる皆さんに説明せい」
? ? ?

? ? ?

  ?

?黒井 ?リョウ ?バルト
?リュウ ?テン ?クロナ
?ショウ
となっている。
「良くできました…ん?姉さん何?」
見ると不思議そうな顔をしてクロナが手を上げていた。
「一体誰と話してるの?」
「いや、独り言だ」
とショウがメガネを上げながらしれっと言い切ると皆はじっとりとショウを見ていた。
「そんなに時間がないすぐ始めろ」
と言うリョウの指摘を聞いてショウは肩をすくめながら答えた。
「了解。っと、魔物ってのがなんなのか、って言うのから行くぞ。
 動物と違う所が何なのかって言うと、正直言ってない。動物にも凶暴な物も居るし魔物に凶暴じゃない奴もいる。
 ドラゴン(竜族型)の龍人や竜が一番例に出しやすいな。
 じゃ何を基準にしているかって言うと、住んでいる所だな。基本的に動物は人里に住んでるし、魔物は外に住んでる。」
そこで黒いが手を上げて質問した。
「それでは、人里に住むようになった魔物たちは動物と分類されるんですか?」
「う〜ん、違うんだな〜。マーメイド(人魚型)の一部の種族なんかは人と一緒に住んでるらしいからな。
 それに、魔物のほとんどは人を避けるからな、そして、魔物が住むようになった村や町、城なんかは廃墟として扱われる。
 悲しい事に魔物と共存する人間達はあまり快く思われてないってのが現実だな。」
「それを無くす為に、まずはあのいかれたオッサン殺しにいくんでしょ」
とショウがため息まじりに言うのを、テンが言い放った。
「その前に俺を殺してからにしてもらわなくちゃ面白くねーナ」
とさっきまで寝ていたはずのリュウが笑いながらそういうと、
「俺が生き返ってる理由を教えろー!」
と叫んで机を叩くバルト、をクロナが抑えに掛かり、テンはと言うと隣のリュウと睨みあいなんかしている。
リョウなんかは机に突っ伏して眠ってしまっている。黒井がトコトコとショウの横に歩いていって。
「そろそろお開きにしましょうか」
「あぁ出来ればそうしてほしいな…」
その二人の呟きが教室の隅で発せられていた。