Zero field ~唄が楽園に響く刻~
「サイスを置いていけば良かったのですけど…」
落ち込む兵士をイナとフィルに慰められつつ他の4人の後を付いていく。
ショウに色目を使うサリナに対抗するべく、テンはショウの腕にぶら下がる様に抱きつく。
しかし、サリナはそれに屈することなく、ショウの腕に肩を擦り付ける。
ショウは最初の方は気にしていなかったが、あまりにも長い間歩きながらそんな事をしているので、
「っだー!くっ付くな!歩き辛い!」
と言って、前方の方を歩き出した。
2人が追いかけても、早足で逃げるので2人も諦めて、
「貴方がやたらとくっ付くからショウが先に行っちゃったでしょ!」
「と言う貴方こそショウ様にぶら下がっていたじゃないですか!」
2人で言い争う事にした様だ。
今の状態は、1・2・1・3と言う状態で、
先頭で周りを警戒しつつ進むショウ。
言い争ってむしろ魔物を刺激する役のテン、サリナペア。
ボーっと景色を楽しみながら散歩気分で歩いているリョウ。
慰めてやっているイナ、サイス、フィルトリオ。
正直、真面目に進んでいるのはショウだけだった。
ショウの叫びと共にテンとサリナに数体のウルフ(牙狼型)の魔物がすごい勢いで飛び掛った。
ショウもさすがに後ろが相当うるさいとそっち側の警戒が薄れてしまうようだ。
しかし、テンとサリナに飛び掛るウルフの魔物は、次に地に付く時にはドサッと言う音を立てていた。
一瞬にしてテンとサリナが「「うるさい(わ!)」です!」と叫びながら一気に片付けたのだ。
ショウの目には、テンが一瞬で前方の3体を切り裂き、サリナがその後ろの3体をグローブに仕込んである糸で何枚かにおろし、最後の少し大きいリーダー核のような奴を、テンとサリナの挟み撃ちで一巻の終わりだ。
と言う風に写っていた。
リョウはまず見ていなかったと言うか今でも見る気が全くないので除外して、イナとフィルとサイスには少し速過ぎたかもしれない。
3人とも口をポカーンと開けて硬直していたりする。
ショウは、少し罰が悪そうに頭を掻いてから。
「お前らの方が十分うるさいぞ」
と突っ込んだ。
作品名:Zero field ~唄が楽園に響く刻~ 作家名:異海 豹