小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

Zero field ~唄が楽園に響く刻~

INDEX|23ページ/59ページ|

次のページ前のページ
 

「五人姉妹の番人に守られた神殿があるのです」
淡い水色の髪の少女はショウ達と向かい合った位置から、今回の目的を話している。
「そこの中には、鍵穴と呼ばれる、神と通じるための装置があるのです。」
「ふーん、それはなんかおぼろげだけど分かったわ、でその鍵穴には文字通り鍵か何かがいるんでしょ?その鍵は?」
とテンがちょっと難しい話をさっさと終わらせようと、重要そうなところだけ聞こうとする。
その質問を聞いた少女は、いかにも嫌な顔をして「ふぅー」と言うため息をついた。
「あ、なんかすごくカッチーンときちゃった」
笑顔で額のところくらいに怒りマークを貼り付けてそういうテンを、イナが宥めながら、リョウが代わりに答えた。
「神玉だ、そこの神殿に合った色の神玉が鍵となる」
「そうです、で、そこの神玉は、私の国が管理していたのです」
補足する少女に、今度はフィルが質問する。
「んで、神と通じてどうすんだ?」
少女にジト目でべったりと見つめられている。
「お?テンの気持ち分かりますな〜」
テンの時と同じように笑顔に怒りマークを額に張り付かせてフィルを、兵士の男が宥めながら、ショウが代わりに答えた。
「神に力を貸してもらえるかもしれないし、フィルも聞いた事くらいはあるだろ、『神の世界地図(ゼロ フィールド)』の事。
 魔導律(ゼロ)ってのは大体、世界の意思と言う意味を持っていると言い伝えがあるけど、それは魔法の威力とは桁違いだから世界の意思だからだと言われているんだ。
 けれど、それは言い伝えでもなんでもなく、それは文字通り世界の力であって世界の意思で世界の望む地図があるんだ。
 その地図の欠片が、魔導律(ゼロ)だ。
 すべてを唄う事で楽園を作れるって話だ。」
まぁ、対の厄介な物もあるけどな、と誰にも聞こえないような小声で付け足した。
「さっっっっっすが、ショウ様!」
目をきらきらに輝かせて少女が満面の笑みになっていた。
「「「うわぁ、ムカつく」」」
と、テンとイナとフィルが、ため息をついた。

と言う話し合いになる数十分前、
ショウ達は、朝食を食べにショウ達の泊まっている宿屋の食堂で、食事をしていた。
「あ、こら!それは俺が注文したチキン!」
「関係ないもーん、どうせ全部ショウ兄さんの支払いなんだから、全部ショウ兄さんのなんだよー」
「そう思うなら食べる量減らせよ!」
「ショウ兄さんならすぐお金貯めれるから、私の食事代くらい、らっく楽なんだからいいの〜」
とフィルとイナが愉快にもテーブルの周りをぐるぐる回って大騒ぎしている。
そのイナの食べかけのチキンを座ったまま近くに来たタイミングでリョウが略奪して食べ始める。
「もぐもぐ、ごくん」
「あぁ!私のチキン〜!」
「いや、元は俺のだ!」
「食べた人間のものだ」
「支払った奴のものな」
「「はう!」」「あぁ、それもそうだな」
ショウの一言に一人リョウだけが冷静に頷いていた。
「今日も仲良く喧嘩〜?そろそろ本当に飽きないの〜?」
とテンが呆れながらため息混じりに聞く。
「「仲良くないし、好きでやってるんじゃない!」」
「おぉ、息もぴったり」
「「リョウは黙ってて!」」
リョウは鼻で笑って手元のコップを取りココアを啜った。
現在やっている事は、ここの名物料理のステーキの取り合いだ。
すると食堂の入り口から、声がした。
「ここに、赤髪の少年がいるって聞いたんですけど・・・」
と入り口付近でキョロキョロする人物二名。
ショウはたぶん自分の事なんだろうと思い、ショウは声をかける事にした。
「おーい、そこのお二人さん、俺の事ー?」
「おぉ・・・ってあれ?似顔絵と全然違うな・・・」
と男の証言、そこに少女が口を挟む。
「赤毛で、飾ってないけど、髪の先端が少し跳ねていて、ベストを着ている少年・・・っと、この方で間違いないわ!」
と少女が、嬉しそうに、特徴を確認してからもう一度、
「だって〜、こんなめんどくさそうに見えて、実はクールに輝く瞳に、飾ってないのにこんなにも赤毛の似合う髪型!
 そして、この如何にも着慣れているであろうベストの着こなし!この方全てにおいて、ただならぬセンスと魅力を感じます!
 どうか私と宮殿で式を挙げさせてください!」
と少女が一気にまくし立てると両手を胸の辺りに持っていき、キラキラに輝く瞳がショウを完全に捕らえている。
ショウが少し右にずれると、少女の顔もつられる様に右に、左なら左に、ショウは少し、困り顔で、
「えっと、悪いんだけど、この眼は気付けば〜だし、この髪も生まれつきと、自然に〜で、このベストはテンの好みでだな・・・」
「いいんです!とにかく貴方に魅力を感じるんです!」
「ショウに惚れるのは勝手だし、私の知った事じゃないんだけどね〜?貴方誰よ」
とテンが、口をへの字にして妬いていた。
それを見ていた、イナとフィルはやれやれと言わんばかりに肩をすくめていた。
「あら、気付けなくてごめんなさい、私、サリナ・セカルズ・ソーエクルーラ、今は無き国ガーディエッツの王の娘です」
と名乗りながら挑むように立つサリナに対し、迎え撃つように腕を組んで立つテン。
二人の視線の交じり合う点から火花が散るようににらみ合っていた。
とそこに雰囲気をぶち壊すように、男も名乗った。
「俺はサイス、ガーディエッツで雑用とかさせられてた、見習い兵士です!」
苦笑を浮かべるショウとイナとフィルに対し、キョトンとしているのはテン、そして、一人驚いていた。
「え、貴方雑用とかさせられていたって・・・近衛兵じゃなかったんですね・・・」
「いやいやそんな・・・えっと、Generetorの4人に協力を・・・あれ?5人?」
「俺は、ショウ、Generetorだ」
と、おかしな二人のやり取りを見て笑みを浮かべたショウが先に名乗った。
続いて、少し納得のいかなそうな顔をしながらも、テンが口を開く。
「私は、テン、Generetor、ショウとは別にどうともないから」
と、昨日の大題発言を忘れようとしているのか、少し強調するようにショウとの関係を否定する。
もちろん、それが逆効果になっている事にも気付いていない。
今度は満面の笑みで、イナがリョウの分まで紹介する。
「私はイナフラワー、Generetor、イナって呼んでね、っで〜こっちがリョウ、同じくGeneretor」
リョウは、紹介されて、サリナを一瞥だけすると、ココアを啜った。
一瞥された際に、サリナは「ひゃぅっ!」と小さな悲鳴を上げたのは無理もない。そして、とうとうフィルの出番がきて、大きく息を吸って名乗ろうとした時に、
「俺は・・・」
「彼はフィルディア、ヤラレキャラで、皆はフィルって呼んでるから、チキンって呼んでやってくれ」
と言うショウのテキトーな紹介に、
「「はい!」」
「って、うおい!」
声をそろえてサイスとサリナが頷いたので、フィルが突っ込んだ。

ショウ達はエグレイノンを北門から出て、街道を通っている。
「それにしても、さすがに7人じゃ行動し辛いような…せめて一人削りたいよね〜」
と言って横目でフィルを睨むイナ。
フィルはそれを睨み返し、火花を散らせている。
それを知ってか知らずか、サリナがショウに擦り寄りながら、