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Zero field ~唄が楽園に響く刻~

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8唱、悲しみの音色



「あ〜あ、ほんとつっまんねぇ奴だな。
 まぁ、いいぜ、こいつは返してもらうけど命は助けてやんよ、バハムートのデステニアさんよ」
そう言って金髪の男は倒れている黒髪の男から藍色と青のまだらの玉を、奪い取るとそう言って、立ち去った。
黒髪の男はよたよたと立ち上がると、もうすでにいない金髪の男に
「あれが…リュウ…バハムートの力を無理に身に宿した…」
独り言を終えると、荒野と化している草原を血だらけの体を引きずってその場を立ち去った。

神の終、18、界の闇、船が出発して8日目
船は、昼に港町アートレスタの港に着いた。
船から降りるや否や、バルトは一目散に宿屋を取ると言い走っていった。
「大分酔ったんだな…」
「そうみたいね…」
ショウとテンがそう言うと、まずは情報屋に足を運ぶことにし、情報屋を探して、その屋敷に入っていった。
「夢は自分たちの手で見つけ叶えるもの、
 他人が見つけ叶えるものではない、
 四十神に誓ってそう言おう」
とショウが、入って40前後だろうと思われる女の情報屋、に迷いなく言った。
女の情報屋は笑って、試すような声で、
「あ〜らぁ、あなたたちが夢を実現させるための欠片ね」
「欠片…たしかに、私たちはデステニアよ」
テンが、少し不機嫌そうな顔をして、胸元に手を当てて言う。
イナは小首をかしげているが気にしていない様子だった。
ショウ達は自分たちがデステニアであるが、その事を自分たちはあまり好いていないようだ。
テンはできるだけその話をしないようにしているのがその証拠でもある。
「信じなさい、あなたたちの力は私たちの希望、 あなた達ならきっとあの国を変えられるわ。
 あの国が変われば、私たちの世界すべてが変わる、悲しみの連鎖を断ち切る1歩となるのよ」
女の情報屋はそう告げると、続けて、こう告げる。
「さぁ、真実を見て確かめて、あなた達ならきっと大丈夫。」
ショウは、少し納得いかなそうにはしていたが、ため息をついて少し微笑んだ。
テンとイナはそれを見て、二人も少し微笑んだ。
「それじゃぁ、教えてくれ、本物のバルトはどこだ?」
ショウは真剣な眼差しで情報屋に聞いた。
情報屋は「ふふ。」っと笑った後、すごい事を口にした。
「当の昔に死んだわ」
空気が固まる、今なんと言ったかを少し理解できないように3人が顔を見合わせる。
かまわず情報屋は続けた。
「今のあの男、情報を移し変えられただけの人形よ。
 貴方たちなら分かると思うわ、デステニアから力の情報を抜き取り、他の人に移し変えるあの技術、
 その技術を応用したもの、その身体情報、記憶をすべて抜き取り、その情報を移し変えられた人形のような人間」
テンは情報屋が離してる途中で膝を付いて自分の体を抱いていた。
ショウとイナはその話を聞きながらテンを抱いていた。
3人はその話を聞くと顔色を一気に悪くした。
情報屋はまだまだ続けた。
「デステニアはとても優れていて無敵とも言われているわ。
 だからデステニアの情報を抜き取っても、その力は一時的に低下するだけで終わるわ。
 でも、人の身体情報、記憶、それらを抜かれた普通の人間はどうなるでしょうね?
 もうそれは人間ではないのよ。」
言い終わった時テンが吐き気を覚え、嗚咽を漏らし始めた。そして、ショウは頭をたれ1つの可能性が頭に浮かびあがり、呟いた。
「魔物化・・・」
「あら、話が早いわ、そうよ、情報をそうやって抜き取られた者は、人間としての形を失い、新たに形を変え、どこの魔物とも言えない形となるわ。
 彼の場合、クローツを襲った、あの黒い竜のようなでかい魔物になったわ。」
「やっぱり・・・何かを感じたあれは・・・バルトさん・・・」
ショウが声を漏らすと、とうとうテンは耐え切れなくなって声を上げて泣き出した。
イナは悲しい顔をしながらテンの背中をさする。
ショウは拳を下に打ちつけ、悔やみ、そして、声を震わせながら言った。
「それは今まで何回行われた」
「あれをやるには結構大掛かりらしいわ、だから、未だにテストに2回、本番に2回よ。」
と何の感情も感じさせない声が答える。
ショウは歯をギリッっと言うほど食いしばり、1回深呼吸し深い息を吐いた。そして、ショウは情報屋をまっすぐに見つめて聞く。
「本番の2回目はカミア姉さんだな」
「あら、面白い事を言うわね。正解よ。
 近いうちにこの村を襲うわ、お願いなんだけどそれを止めてほしいわ。
 それに、Generetorの一人がこっちに向かってるわ」
「リョウだね・・・」とイナが小さく呟いた。
その後、ショウ達は気分が落ち着かせた後、情報屋を出た。

「え!?ここに数日留まる?!」
とバルトが食堂で驚き大きな声を出した。
イナはちょっとムカッときたのかテーブルに置いてあるチキンをバルトの口に投げ、がつがつと食べ続けた。
ショウとテンは少しむっとして食べ進めている。
「ひや、へもはんでほほにほどはるほほにひはんは?(いや、でもなんでここに留まる事にしたんだ?)」
とバルトがチキンをもぐもぐしながら話した。
「飲み込んでから話してくれよ、全く何言ってるか分かんないから。」
とショウがサラダの皿を持ちながらちょっと睨みながら言った。
テンはホットミルクを飲みながら、ショウが言うとほぼ同時にバルトのすねを蹴った。
「いっで!テン、なんだよ、蹴る事はないだろう・・・」
とテンを見たバルトは片方の口を吊り上げ黙ってしまった。
テンが凄まじいガンを飛ばしていた。
(女ってこえーなー)とショウが思った後、口を開いた。
「んっとな、さっき手紙が記憶されていたんだよ。
 内容はこうだ。
 この村にGeneretorの一人が向かっているって話だ。
 だから俺はそいつと合流しようって思ったんだよ」
と言うとバルトはふぅーんと言って一つの疑問をショウに問いかけた。
「手紙って、旅してる奴にはどうやって届くんだ?」
「基本的には手紙なんて届かないわ」
とテンが代わりに答え、その後、イナが得意げに説明しだした。
「えっとね、Generetorはね、世界各地を点々する人が多いの、だからね、
 特別に手続きをすると、村や町それぞれの役所で、手紙が風の魔力で内容だけを伝達できるんだよ。
 普通なら町の名前やら何やら書いたら、届くまで数日かかるけど、
 これを使ってる人たちには、すぐに手紙がすべての国の役所に届くの、
 でもね、その魔具は特別手続きを終えた後にもらえる、認識証がないと、機能してくれないの、
 だから、どんな事をしても内容を知られる事がなくて安心なわけね。」
「お前ら・・・いつそんな手続きしてたんだ?」
とバルトがあんぐりと口をあけた状態で問いかけた。そして、3人が顔を見合わせると、簡単に答えた。
「Generetorに入った時」
「じゃぁ、ショウとテンはどうやってGeneretorの存在を知ったんだ?」
とバルトが聞くもショウが「秘密だ」といってしまったっきり、その話を打ち切った。
これ以上変な事を知られるわけにはいかなかったのである。

そこは海の上、海の上を泳ぐように進んでいる魔物があった。
「うふ、待ってなさいよ、私の可愛い子達・・・うふふふふ・・・」