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Zero field ~唄が楽園に響く刻~

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7唱、船上の平穏曲



「雑魚い…、こんなものが、セントバイトの精鋭か…、弱すぎるな…。」
黒髪を赤に濡らした男は自分の持つ刀を見て、見下す様に静かに言う。そして、目の前に積まれた兵の山を後にしようと、歩きだそうとした時。
「あぁ〜、お前…、楽しい?強い?なぁ?お前…俺を楽しませてくれるか?」
金髪の男が兵の山の上に座って背中を向けた黒髪の男に、退屈そうに聞く。
黒髪の男は、援軍か、と呟くが、金髪の男は下の兵なんてどうでも良さ気に、黒髪の男を見て笑っている。
「お前も神玉を求めてきたのか?お前たちのところから盗み出したのはすまないとは思うが、これはお前たちに持たせておくわけにいかない」
待つ者もいるからな…、と続けようとした時だった。
「俺はどうでもいいよそんなの、別に、俺を楽しませてくれれば殺しはしないし、その神玉もやるよ」
金髪の男は笑いながら立ち上がると黒髪の男に、剣を抜けと言わんばかりに、剣先を黒髪の男に向けた。
「逃がしてはくれないようだな…力の差は分かり切っているくせに面白い事を言う…」
と小バカにした冷たい声が響き黒髪の男が剣を抜いた。

神の終、11、界の光、船が出発した1日目
ショウ達の乗った船が出発して、かれこれ3時間が経っただろう、ショウ達はそれぞれの事をやっていた。
甲板に出て外を眺めてる人たちがいて、船に酔って寝てる人もいる。
ショウ達の乗った船はでかい、乗客もそれなりである。
基本的に、危険な事をしなければ、船ので何をしてもかまわない、もちろん火器は厨房以外では禁止である。
「ねぇねぇ、そこのお兄さん、一人〜?」
20前後の女性が策の上に両肘をついて水平線を見つめているショウに声をかける。
声は綺麗でスタイルもよく顔も美形だったその女性は、自信あり気にショウに声をかけてショウの横で策に背中からもたれかかり両肘で支える。
「あぁ、今は見ての通り一人だな」
「あれ〜?それって、恋人がいるってことかしら〜ん?」
「いや、別に気になる奴もいないけどな」
ショウは半ばどうでも良さ気に言うが、女性はそれにもめげないで、話を続けようとする。
よく見るとショウは右手に縄を持っていた。
それは海に延びていた。
その後、女性の口説きを、ことごとくさり気無くかわすショウは最後に、
「すまないな、今はここで向こうの水平線を見ていたいんだ…」
と言って、女性はしぶしぶ首を縦に振って船の中に入っていった。
ショウの持っている右手の縄は、放してしまえば、1人の命が海のど真ん中に放り出されることになる。
と言うのも、ショウの持っているその縄は、どうしても泳ぎたいと言うイナのわがままに付き合った結果、命綱としてその縄を持つことになった。
だからそこから離れるわけにもいかず、女性の誘いを断った。
が、ショウは本当にどうでもよかったのだろう、女性を1回ちら見してから全く見ていなかったのである。そして、太陽が真上くらいに来ていた。
ショウはそろそろかと思い、一気に縄を引き上げる、かなり長い、最後は縄を体に巻いたイナがすごい勢いで釣りあげられた。

神の終、12、風、船が出発した2日目
「昨日はひどい目にあったよ〜…」
イナが夕食を食べながら愚痴るっている。
昨日の事とは昨日ショウに釣られた事を言っているのである。
テンはいつも通り食べ物を口に運ぶ、バルトも手を休めない、聞いているのは…。
「ぴぃぴきぃ!」
フェニックスだけであった。それでも、イナは愚痴り続けた結果、テンが口を開いた。
「ごちそうさまでした♪」
それはそれは満足しましたと言わんばかりの満面の笑みで、すでに食べ終わって、ペンダントをいじっているショウの腕を掴んでどこかへ行ってしまった。
バルトは愚痴り続けるイナを放っておくわけにもいかず、しぶしぶ愚痴を聞くことにした。

夜の風が吹く甲板に出た二人は、月を眺めた。
ショウはお決まりの策に両肘をつく格好で、テンは策に寄りかかって眺めた。
「綺麗だね〜…あの時もこんな風に薄く水色に光ってたっけ…」
最初に口を開いたのはテンだ。
ショウはテンに目をやる、夜の気候は少し肌寒かった、ショウは無言でベストをテンにかけてやる。
「よく覚えてるな、俺は全然覚えてないな…。
 お前に名前をあげた時の事なんて、俺が俺になった時であって、俺が俺じゃなくなった時の事だからな。
 覚えてる事は、お前のあの時の笑顔くらいだな」
テンは少し残念そうに、だけど、やっぱり懐かしそうに顔を赤らめながら月を眺めていた。
ベストは肩と胸元にだけ効果を発揮した、袖がないからむき出しの両腕は相変わらずちょっと寒そうだ。
ショウはいつもそれはどうしようもないからそれが気になって仕方がなそうにチラチラとテンを見る。
「思えばあの時から始まったんだよね〜、研究所で初めてみた光がショウだったからね…」
ショウをすこし眩しそうに見て、ショウもその時テンを見ていたので目が合った。
「そうだな、俺もお前を知って名前をあげた時希望を持ったな」
二人は微笑んでまた月を見上げることにした。
月は薄く水色に光っていた。

神の終、13、火、船が出発して3日目
「…あなたの眼、私と同じだ」
幼い女の子の声だ、その女の子の声には感情はこもっていなかった。
ただその瞳が写していたのは、周りにいるほかの幼い子供にない眼をしていた。それは、光があると形容できる、それを持った同じ年くらいの男の子だ。
「僕の眼が?君の眼と同じ?」
男の子はしばし女の子と見つめあった。
「ホントだ…同じだ」
女の子は立ち上がる。
ここは牢屋のように、1面ガラス張りの壁とそれと対面に一つの窓がある。
その窓はとても幼い子供の手が届くところにはないが空を見上げるには十分だった。
女の子は男の子を呼んでその窓から空に浮かぶ薄く光る月を指さしていた。
「綺麗でしょ、私いつもここからお空を見てるの」
「それなら君はテンだ…」
「テン?それなぁに?」
「名前って言うんだよ、名前ってあった方がその子の事呼びやすいでしょ?」
「それなら、私、R121だよ?」
「そんなのは名前じゃないよ、名前って言うのはそれに意味があるんだよ」
「私全然分んない…」
「うん、僕も分かってないで言ってるけど、誰かにそう教えられた気がしたから…」
「そっか、それじゃ、君にも名前がいるね」
「僕?そうだね、僕も昔の事は何も覚えてないから名前もないね…R022とは呼ばれてるけど…」
「…ショウ、とかどう?何かお空を飛んで行けそうな名前じゃない?」
「うん、何かそんな感じする」
それは薄く水色に光る月に照らされてしたショウとテンの初めての出会いであり、初めての会話だった。

ショウとテンは少し浮かない顔で朝食を食べている。
イナはそれを心配そうに見ている。
バルトがたえかねて聞いた。
「お前らどうした?なんでそんなに浮かない顔してるんだよ」
テンはそれでも食事の手を止めることなく、ただ食べ続けた。
無視と言うより聞こえてないようだ、目が遠くを見ていた。
ショウの方も手を休めはしなかったが、途切れ途切れに、理由を話す。
「今日……朝に夢……見たんだよ……不思議とテンも……同じ夢をな……まぁそれだけだ」