影響された世界にて
「ダメだよ!!! 中に入るのは!!!」
いきなり、ルリジの後ろにいたピスが叫んだ。唐突な叫び声に、ルリジはビックリした。ただ、気絶していたウォーは、それで目を覚ます。ロボは、ピスを黙って見ている。
ルリジは、叫んだピスを見た。彼女は、必死な表情をしている……。
「どうしてダメなんだ?」
ルリジは、ピスに尋ねた。彼女は、返答に困った表情に変化してから、すっかり暗くなった空を指さす。
「……だって、もう夜だし、それにお花を詰む約束は?」
彼女の返答に、ルリジはため息をついた。ウォーは、自分が気絶している間に何が起きたのか理解できていない様子だった。
『よろしければ、この艦に泊まっていってください。明日でも花はまだあると思いますよ?』
ルリジの後ろで眺めていたロボがそう言った。
その後ろでウォーが、ロボにもう一度飛びかかってやろうと身構えていた。しかし、ロボは一瞬で180°回転すると、口を開き、口の中にある電撃線をぱちぱちと鳴らした。それに、ウォーは驚いて、地面にへたりこんだ。そして、ロボは再びルリジのほうを向く。
『それとも簡単な見学だけにしますか? 順調にいけば、早く終わります』
ルリジはピスをちらっと見た。彼女はふてくされている。
「いいだろピス? 少しだけだから」
そこで彼女はあきらめた表情で、
「少しだけだからね……」
『それでは中へどうぞ』
ロボは、艦内へゆっくり入っていった。その後をルリジが追う。
「オイ! どういうことだよ!?」
ドアの目の前に来たとき、へたりこんでいるウォーが聞いてきた。
「……たぶん、大丈夫だよ」
ルリジはそう言うと、艦内へ入っていった。その後ろをピスが渋々ついていく。
ウォーは立ち上がったが、ためらっていた。しかし、目の前のドアが金属音を立てながら閉まり始めると、覚悟を決めた様子で、艦内へ飛びこむ。
ドアがうるさい金属音を立てて閉まる。
その直後、森の中から悲鳴が聞こえてきた……。