影響された世界にて
「こっちに来るな!!!」
ウォーがその生首のような物に向かって、こん棒を振り回す。ルリジたちはウォーの後ろまで急いで下がった。
その生首のような物は振り回されるこん棒を見て、動きを止めた。
だが、すぐにそいつは、口を開き、鋭い電撃を発した。その電撃は、ウォーが持っていたこん棒に直撃する。ウォーは驚き、こん棒から手を離した。そこでそいつは、電撃を発するのやめ、口を閉じた。地面に落ちたこん棒は、完全に木炭と化していた……。
そこでウォーは、そいつに向かって大声を上げながら飛びかかった。しかし、そいつはウォーをひょいと避けた。ウォーは地面に墜落した……。地面にうつぶせに墜落したショックで、彼は気絶してしまったようだった……。
地面にうつぶせになっているウォーを無視して、そいつはルリジたちに向かって飛んできた。
すぐに他の村人たちは、森へ一目散に逃げていった。残ったルリジは、同じく残ったピスの前に立ちはだかった。
『危害を加えるつもりはございません。ワタシたち『CROSS』はあなたがたを歓迎するつもりです』
……そいつはルリジの目の前で動きを停止するとそう言った。一応、ルリジたちと同じ言語を使っているが、発音が少しおかしかった。
ルリジは、突然喋り出したそいつに呆然としていた。ピスはそいつに興味を持ったようで、黙ってじーと見ていた。
『失礼。言語データベースが3年ほど前のデータのため、発音などに違和感があるかもしれませんので、その点はご了承ください』
そう言うとそいつはおじぎをした。(もちろん、ルリジたちの村におじぎの習慣は無い。)そして、そいつは話を続けた。
『あなたがこの世界の代表ですか?』
そいつはルリジをまじまじと見ながらそう聞いた。だが彼は、呆然としたままだ。
『あなたがこの世界の代表ですか?』
そいつは、ルリジに繰り返す。
そこでルリジは我に返り、
「おまえは何者だ!?」
そう問い質した。ピスはルリジの後ろで、そいつをまだじっと見ている。
『ワタシは、特殊部隊『CROSS』に配備されております、援助ロボです。あなたがたのような人々を援助する任務についております』
「……そのCROSSって何だ?」
『大日本帝国連邦陸軍所属の特殊部隊です。異次元暦42729年に創設されました』
「…………」
ルリジは、ロボの言っていることが、まったく理解できずにいた。
『あなたがこの世界の代表ですか?』
先ほどと全く同じ口調で、そのロボは尋ねた。ルリジは、その質問の意味も、あまりよくわからなかったものの、
「ぼくが代表だよ」
そう言い切った……。ピスは彼をちらりと見る。
ルリジの返事に、ロボは、安心したような様子を見せる。
『それでは御案内します。どうぞ艦の中へ』
ロボは、ルリジたちを艦内へ促した。ルリジはためらったが、出入口のドアへ、ゆっくりと足を進める。