影響された世界にて
その他にも何人かの村の人々が名乗りを上げてくれたが、
「……ピス、おまえはダメだよ……」
ルリジがそう言った相手は、ワンピースのような服を着た、彼よりも一回り小さな可愛らしい少女だった。おとなしそうな(悪く言えば、弱そうな)白い髪をした女の子だった。年はルリジと同じぐらいのようだ。
「そんな、私だって行きたいよ……」
ピスという少女は悲しそうな表情で言った。青い目がうるうるとしている……。ルリジはため息をついてから、
「わかったよ……」
そうピスに言った。その途端、ピスはニコリと微笑んだ。
「ありがとう♪」
……結局、ウォーとピスの他に5人の村人たちがルリジといっしょに行くことになった。女性はピスだけだった。ピス以外の全員が、万が一に備えて武器を用意した。
ただ、武器といっても、こん棒などの原始的な武器だった……。石が金属の代わりだ。
準備を終えた頃には昼になってしまい、ルリジたちは急いで昼食を取る。村の外は暗くなると、オオカミに似た凶暴な動物が闊歩し始めるからだ。
「それじゃあ、長老! 行ってきます!」
ルリジの出発の言葉に長老は、無言でうなずいた。
そして、ルリジたちは、謎の物体に向かって出発した。一番先頭はウォーで、その次にルリジ、ピス、その他の人々が続く……。
村中の人々が彼らを見送ってくれた。