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影響された世界にて

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「おい!!! 水が湧きだしたぞ!!!」

 穴の中をのぞいた村人が、人々に叫んだ。ロボから穴のほうへ、人々の視線が一斉に移る。
 叫んだ村人は、興奮した様子で、穴の中を指差している。人々は、ロボのことなど忘れたかのごとく、穴へ駆け寄っていった……。

「おお!!!」
「水だ、水だ!!!」
「岩の下に水脈があったんだな!」
人々は、穴の中を見た途端、喜びの声をあげる。まるで大合唱のようだ。
 穴の底は、湧き出た水で満たされていた。水位は少しずつ上がっていき、水深3メートルぐらいで止まる。大人が手を伸ばせば、地上からも手が届く。また、異物が混じっていない、透き通った水だった。
 穴の上に井戸を設ければ、飲用可能な水源として、大いに活用できる。
「うまい! 少し冷たい温度で、飲み心地は最高だ!」
味にうるさい村人が、さっそく水を飲み、感想を語った。どうやら、高評価のようだ。
「これなら、困ることはまず無さそうだ」
長老は、穴の中を満足気に覗きこんでいる。


「大丈夫か? おい、大丈夫か?」
「死んではいないが、様子がおかしいぞ」
水に興奮する人々を尻目に、ルリジとウォーが、ロボを見守っていた。いつの間にか、ピスが近くに立っており、ロボの様子をじっと見ていた。
『ワタシは……大丈夫……です。水の問題は……解決したようですね』
ノイズ混じりの声を発するロボ。スピーカーが故障してしまっているようだ。
「ピスのせいだぞ!」
振り返って、彼女を叱るルリジ。
「だって、ウォー君が無理やり奪おうとするんだもん!」
ピスは、女性らしい反応を見せた……。
「おいおい、俺のせいか? まったくこれだから女は」
ウォーは、彼女を睨んだ。ピスよりかはマシとはいえ、確かに彼にも責任があった。

『大丈夫ですから……やめてください。……それより、みなさんに提案……したいことが……あります』
ロボが割って入った。
「……提案って何?」
ルリジは首をかしげながら、ロボに尋ねた。
『お集まり……ください!!!』
ロボは、水不足解消に喜ぶ人々に呼びかけた。今まで聞いた中で、1番大きな声だった。

作品名:影響された世界にて 作家名:やまさん