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影響された世界にて

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『文明レベルの査定も行ないたいので、ちょっと動き回りますね』
ロボはそう言うと、村のあちこちを観察し始めた。
 小さなたき火、枯れた井戸、屋根がついただけの倉庫。それらを次々に見て回るロボ。
「何をしているんだろう?」
「査定だとおっしゃっていたが、査定って何だ?」
ルリジたちは、そっと後に続いている。どうやら、「査定」という単語も、まだ出現していないらしい。

 ロボが今しているのは、この世界がどれほどの文明レベルであるかを調べるためのことであった。この世界は、まだ名前もついていない存在のため、情報が入っていないのだ。そのため、自ら調べる必要がある。
 集めた情報を元に、どれまでの支援が必要かどうかを見極めるのだ。ただし、「将来の敵」となった場合に、めんどくさいことにならないよう、軍事技術に対するストッパーがかけられている。
 査定するロボを、ピスはじっと見ていた。何かを考えているように見える……。


『お待たせしました。中世ヨーロッパレベルまでの技術でしたら、あなたがたに提供できます』
査定を済ませたロボは、ルリジに言った。「中世ヨーロッパ」という初耳の単語を聞いた人々は、互いに顔を見合わせる。どうもこのロボは、人々が聞いたことのない言葉でも、構うことなく話す癖があるらしい。

 先ほどからの様子を見る限り、ロボはルリジを、この世界の代表者だと認識しているようだ。もちろん、自称した彼が悪い……。
 ルリジ本人は、そのことに気づいていないようだ。しかし、ウォーは、そのことが気に喰わないらしい。
「それで、どうやって水不足をなんとかするつもりなんだ?」
彼は、ルリジの前に立ちはだかった。まるで、自分が代表者であると言わんばかりに。もちろん、2人とも違う。

『新しい井戸を掘ります』
ロボの計画を聞いたルリジたちは、互いに顔を見合わせた。
 枯れてしまっている井戸の代わりに、新しい井戸を掘るということは、もう何度も試したからだ。しかし、それはすべて失敗に終わっている。それは、この辺りの地形が原因だった。
「おいおい、それは無理な話だぜ? このあたりの土は、岩だらけなんだ」
ウォーが半笑いで言う。しかし、ロボは平然としていた。
『その点は御心配なく!』
ロボには考えがあるようだ。

作品名:影響された世界にて 作家名:やまさん