影響された世界にて
第4章 神の使いデビュー
「おお、帰ってきたぞ!!!」
村に入った途端、人々がルリジたちを出迎えくれた。松明の明かりが、ルリジたちの顔を照らす。
皆、心配そうな表情を浮かべている。先に帰った者たちが、オーバーにいろいろ話したのだろう。あの獣に、ケガを負わされた者もいる。
「大丈夫か? 幽霊ではないだろうな?」
長老が、ルリジたちの体を見回す。
「もちろん生きていますよ。まあ、面倒事はありましたけどね」
「ルリジが、獣をやっつけたんだぜ!」
安心させようと、ルリジとウォーは言った。2人とも、得意げに自動小銃を持っている。
「うわ!!! コイツはなんだ!?」
3人の後ろで浮かんでいたロボに気づいたらしい。人々は驚き、後ずさりをする。生首が浮かんでいるようなものなので、この反応は普通だ。
「コイツは、ロボという名前で、あの物体の中にいた」
ルリジの説明を聞き、何人かがロボに恐る恐る近づく。
どうやらルリジは、「ロボ」が固有名詞だと思っているようだ。
『皆さんこんにちは。ワタシは、特殊部隊CROSS所属の援助ロボットです』
ロボは自己紹介をした。村の人々は、「神の使いだ」とざわつく。
「……よ、よくぞおいでくださいました」
村を代表して、長老が挨拶する。
「あなたは、使いですかな?」
『ええ、そんな感じです。CROSSを代表して参りました』
ロボがそう言うと、人々は嬉しそうに顔を見合わせた。ルリジとウォーは、自分たちが最初の遭遇者であることを、誇りに感じているようだ。
だが、ピスだけは、ムスッとした顔をしている……。ロボが早く立ち去ることを望んでいる感じだ。
『ところで、何かお困りのことはございませんか?』
ロボは、ルリジに尋ねた。
どちらにしろ、後で行くつもりだったのだが、ロボは自分の仕事をこなすつもりでいた。
このロボは、未発達な世界を助けるために投入されるロボットなのだ。持ち主であるCROSSは、これで罪滅ぼしの援助活動を行なうつもりでいたようだ。
何を頼むべきかで迷ったルリジは、長老たちのほうを見る。
「困っていることといえば」
「水不足かな」
このあいだの雨のおかげで、水不足はとりあえずなんとかなっていた。ただ、完全に解決したわけではない。
『では、さっそく取り掛かりましょう』
ロボの即答に、一同は驚く。ロボが何をするつもりかなど、まったく検討がつかなかった。