影響された世界にて
突然、甲高い大声が村中に響き渡った。その大声に、人々は静まりかえる。
「ちょ、長老!!」
大声の主は、この村の長老だった。彼は、この村の長である。
長老の外見は、ゲームやアニメとかに登場するようなひげもじゃのジジイだ。普段は穏やかな老人だが、このときは、顔に怒りがこもっていた。長老の顔に人々は驚いていた。
「そんなことしてなんになるというじゃ!? となりの村にも事情というものがあるじゃろうに!!」
長老の言葉に、誰も反論できなかった。ただ、ウォーだけは納得ができないようだ。
「じゃあ、長老よ。何かいい方法があるのかい?」
ウォーは長老に言った。
「………」
ウォーの問いに長老は無言になった。そのことに、人々はざわめき始め、ウォーはニヤリとする。
ビシビシビシビシビシビシ!!!
突如、耳をつんざくような電撃音がその場に響き渡り始めた。
「何の音じゃ!?」
「おい!!! 上を見てみろ!!!」
人々はいっせいに空を見た。
……少し遠くにある山の近くの空の一部分が、稲妻に包まれていた。稲妻は、次第に円状になっていった。
「こんなことは生まれて初めてじゃあ!!!」
長老は目を見開いて言った。よく見ると、長老は震えていた。その長老の様子に人々は、尋常ではないことが起きていると感じたようで、オロオロし始めた。そのころには、稲妻は完全に円状となっていた。
「なんだあれは!?」
「みんな、家に入れ!!!」
人々は一目散に、自分の家へ駆けだす。そのため、広場はパニック状態になった。あちこちで悲鳴があがる。ただ、長老だけは、その場で眺めていた。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!
パニックになっている人々の喧騒を掻き消すかのごとく、電撃音とは異なる轟音が鳴り響く。その轟音で、人々は立ち止まり、再び稲妻のほうを見た。
「……何じゃ……あれは!?」
長老が声を押し殺しながら言う。もちろん、人々がその問いに答えることはできなかった。