影響された世界にて
第1章 始まり
その名も無き世界は、異次元の果てにひっそりと存在していた。大日本帝国連邦や他の世界にも、その世界の存在は知られていたが、新しく誕生したばかりな世界のため文化程度が低く、市場価値も見こめないため、わざわざこんな異次元の果てにある世界に来ることはほとんど無かった……。
その世界は、独自の環境と文化があり、文明は着々と発展を進めていた。現在の文明レベルは、古代ローマ時代ぐらいだろうか。
宗教は無かったが、人々は共通の価値観を持っていたため、争うこと無く平和に時を過ごすことができていた。
空からあの艦が来るまでは……。
【時間軸】…異次元暦42736年 3月27日
【場所】…無名世界(名称未制定) 北緯35度 東経136度
その晩、空に雲は一つも無く、四角い形をした大きな水色の月と緑色に耀く星々が紫色の空に広がっていた。我々が知っている夜空とは違う、不思議な夜空であった。
その夜空の下に、一つの集落があった。その集落は、無数のたいまつの明かりで包まれており、集落の真ん中にたいまつが集中していた。その集落の真ん中は小さな広場になっており、その広場にたくさんの人々が集まって話をしているようだ。その人々の外見は、我々人類と全く同じだった。ただ、人種がごちゃまぜで、獣の革か藁でできた粗末な身なりをしていた。
その村の人々は、重大な話し合いをしているようだ。
「……どうしたもんかのう。このままでは、畑の作物が全滅してしまうぞ」
「それもそうじゃが、飲み水も心配じゃのう。水がめがほとんど空になってしまっとる」
「こうカンカン照り続きじゃなぁ……」
話し合いのテーマは、水不足だった。よくある話だ。雨は降らず、井戸は枯れている……。
「となりの村に相談してみてはどうかのう……」
「ぼけたかじいさん? この前、相談したろ。だが、全然助けちゃくれないじゃないか!!! 川が通っているのにだ!!!」
1人の中年男性が声を張りあげて言った。周囲の人々はうなずいて同意する。
「そうだ!!! いっそのこと、となりの村を襲おう!!! このままじゃ、この村は全滅だ!!!」
体の大きな少年が声を張りあげて言った。
「ウォーの言う通りだ!! 襲おう!!!」
「そうだ!!」
「戦おう!!」
ヒステリックに他の人々が叫び出した。
「やめんか!!!」