影響された世界にて
『この部屋は『ブリッジ』という部屋で、この艦で1番重要な場所です。まず、このブリッジの真ん中にある一番大きな席には、特殊部隊CROSSのトップである山口少佐が座られます』
「その山口少佐は、今どこに?」
艦に乗りこんでから、ずっと口を閉じていたピスが、ロボに尋ねた。ロボは少し黙った後、
『……山口少佐は、現在、連絡を取れない場所にいらっしゃるようです。今日の昼過ぎまでは、この艦にいらっしゃったのですが』
ロボは、ゆっくりとそう答えた。
『その人に会える?』
今度はルリジが尋ねた。またロボは少し黙って、
『……いずれ会う機会があると思いますよ』
ロボは、どこか自信無さげだった……。
『時間が無いので、次の場所に行きましょう!』
次の質問を嫌ってか、ロボはそう言い出した。ルリジたちは、ロボに急かされる感じで、ターボリフトに乗り込む。
全員が乗りこむと、ターボリフトは再び不気味な音を立てながら動きだす。
『次は、食事を取る場所である『食堂』へ御案内します。一度に100人以上が食事をとることができる広い場所です』
「おまえもその『食堂』とかいう場所で飯を食べるんだろ。うまいのか?」
ウォーが『食事』という単語に即座に反応したようで、ロボに質問した。
『……いえ、ワタシはロボですので、食べることはできません』
「……食べないって、じゃあ、おまえはどうやって生きているんだよ? それに、『ロボ』って何だ?」
「そろそろ、着くよ」
ウォーがロボに質問するのをやめさせるためなのか、ピスがそう言った。なぜか、そのときの彼女の声は、氷のように冷たいものだった……。
その直後に、ターボリフトは止まり、ドアがゆっくり開く。
ドアの向こうには、ロボが言っていた『食堂』があった。しかし、ブリッジと同じく、ここにも誰もいない……。
『ここにある装置から食べ物が受け取れ、すぐ隣りの装置からは飲み物が受け取れます。装置に向かって欲しい物を言うだけでオーケイです!』
ロボはその装置二台のすぐ横に来ると自慢気にそう言った。
だが、その装置は火花を散らして壊れていた……。
ウォー「オクビョウドリの丸焼き!!!」
ルリジ「マングローブエビの蒸し焼き!!!」
壊れていることがわからないルリジとウォーは、口からヨダレを滴らしながら、食べ物の装置に叫んだ。(2人が注文したのは、この世界独自の料理だ。)