FLASH
沙織の肩を軽く叩くと、鷹緒はそのまま搭乗口へと消えていった。
「……行っちゃったな」
広樹がボソッとそう言った。沙織は静かに頷く。
「はい……」
「寂しくなるけど、僕たちも寂しがってる暇はないよね」
横目で見つめる優しい広樹に、沙織も微笑んだ。
「……はい」
「帰ろうか」
「はい」
二人は頷くと、空港を去っていった。
鷹緒は搭乗口のロビーで、沙織に渡された封筒を開けた。中には、鷹緒が送った沙織へのメッセージつきの写真が入っている。
“俺が一番気に入ってる写真です。これからも頑張れ”
写真の裏に書かれた鷹緒のメッセージの隣には、新しくメッセージが書かれている。沙織が車の中で書いたと見られるメッセージであった。
“ハイ、頑張ります! 鷹緒さんも頑張ってね!”
そう書かれている。そして写真の隅に小さく、もう一つメッセージがあった。
“好きです”
今の沙織の精一杯な、小さな愛の告白であった。鷹緒は静かに微笑むと、日本を発っていった。