FLASH
「わかりました……これからは、ニューヨークへ向けての、仕事モードでいきます」
茜はそう言って立ち上がる。これ以上、追求は出来ないと思った。
「ああ。じゃあ俺、寝るから。おやすみ」
「ここでですか? 風邪引いちゃいますよ」
「夏だから平気だよ、じゃあな。おまえも気を付けて帰れよ」
「はい……」
茜は事務所を出ていった。煮え切らない態度の鷹緒だったが、少しだけ、本心を覗けた気がした。
鷹緒はそのまま目を閉じた。茜の言葉が、頭の中でこだまする。鼓動が早く、体が熱いのは、浴びるほど飲んだビールのせいだろうか。脳裏には、沙織の姿があった。