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ひぐらしのなく頃に 壊 姉探し編

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第五話




昭和61年。この頃既に強い霊感を持っていた私は、私にまとわりつく存在のことを十分に認識していた。


母さんが死んでから既に2年の時を経ていた。1年前はとにかくうっとうしい気配をどこかしこで感じていたし、動けばとにかくついてくる気配もあった。
1年かけて、私はそれらの気配を霊だと考えることにするという結論に達した。
霊とは死者の魂。気配とは人の息遣い。しかして気配の主は何処にも見えず、そして霊とは常人には見えざる存在。
つまりこの気配とは、霊が発する気配なのだと、子供の頃の私が理解するにはかなりの時間を要した。


この多感な時期にたかだか霊について考えただけで、私の頭は成長したのか老化したのか、とにかくこの頃には同年代の子供達よりも一歩進んだものの考え方が出来るようになっていた。
要は、私は他の子供達より頭が良かったのだ。


しかし霊を感じることの出来る私は異常な存在であると、同時に私はそう自分を認識していた。基本的に私は他人から離れて日々を過ごしていた。この時小学校1年生、友達と言う友達はいなかった。
それに、他の子供達より頭がよくっても、それを褒めてくれる母はもうこの世には存在しなかった。父は私を褒めることはしないしそんな時間も持っていなかった。
この時期の父さんは未だ母さんを亡くした悲しみを背負っていた。働くだけで精一杯、朝ご飯と晩ご飯は毎日私が作らないと生活出来なかった。それでも私は父さんに感謝していた。


父さんが働かないと食べ物を買うお金さえないから、私はこの生活に不満を感じてはいなかった。否、不満を感じることは許されないのだ。


父さんと比べれば、私は楽だった。だから私の学校で友達がいない状況なんてものは全く気にならないことだった。事実頭はいいので、成績はいつもトップ。小学生のクラス成績なんて今となってはどうでもいい事柄だが、当時のクラスメイト達は羨望か嫉妬の目で私を見ていた。
宿題を教えてくれと頼む子もいれば、成績で突っかかってきたり勝手に勝負を仕掛ける人もいた。友達はいなかったがコミュニケーションはとれていたので、字面ほど悲惨な小学校時代を送ってきた訳ではない。


霊の観察も私の日課になっていた。常人とは異なった感覚を有する以上、それを研ぎすますことをしないともったいが無い。


どうすればもっと強く霊を感じることが出来るのか、どういった場所が霊を感じやすいのか、どのような人が霊の憑きやすい体質なのか。夏休みの自由研究の比ではない研究と観察を行った。


場所はやはり人が多く死んでしまうところ、駅のホームなんてのは飛び込み自殺者の霊なのか、電車に乗ろうとするたびに多くの気配を感じることが出来た。また墓地も霊が集まりやすい環境なのか、数多くの気配を感じ取ることが出来る。
また憑きやすい人と言うのは死者に恨まれやすいと言うのか、一度町中でやくざみたいな人を見つけたことがあったが、彼の周りから感じ取ることが出来る霊は凄まじかった。
また警察官なんかも霊がつきまとっていた。ベテランの人では、恨まれている人もいるのかもしれない。


しかし肝心の、どうすればより強く霊を感じ取ることが出来るのか、に関して成果はさっぱりだった。
目をつむればいいわけでもない、臨死体験なんかしたくても出来ないししたくない。霊感自体が強くなることはないとわかってしまったのだった。


霊感は年を食うごとに弱まっていくと言うのが定説らしい。私の霊感は今以上に上がる可能性はあるだろうが、初めて下がり始めたらもうあとはずるずると下がっていくだけになるだろう。
盛者必衰。それは必然なので甘んじて受けることにする。だから私は霊感がある時期だけに出来ることをすべきだと心に誓った。この頃はまだ霊感を持っていてもアクティブな思考を持っていたので、現在と比べるとまだ明るい性格だったと思う。


ここまで霊の研究をすることが出来た。そして出た結論は一つ。私は霊に憑かれているということだ。
母さんが死んでから、いや雛見沢大災害が起きてからずっと感じていたこの気配。霊なのはわかっていた。けど憑かれているとは思っていなかった。


だって憑かれる心当たりが無いから。


憑かれている人は先ほどの通り、職業柄恨まれやすい人が憑かれるのが多くのケースだ。私はこの世に生まれて6年しか経っていない。成績という意味での嫉妬はあっても、本当に恨まれるようなことをしてきた覚えは無かった。




それで、いつかの日、夜眠る時、いつものようにその霊は私の枕元で佇んでいた。その時わかったんだ。




肉親に憑く霊---------------私の肉親で死んでいる人と言えば-------------------------





「あなた・・・・姉さんなのね。」


確信した。この霊は母さんが辛うじて生きていた頃から私につきまとっていた。答えは一つだった。




「姉さんなんでしょ、ねえ。あなた。」




霊は答えることは無い。私は霊を感じることは出来ても話をすることは出来ない。




「あなたさ、姉さんなんでしょねえ、答えてよ。」




それでも霊は答えない。否、答えているのかもしれない。しかしその答えは私に届くことは無い。