永訣の夜に
それを見て、少年は少女に苦しそうに微笑みかける。
「でも、出来なかった……僕には死ぬなんて勇気、なかったんだ……」
少年の目から、涙が溢れ出た。
「僕は友達を救えなかった。死ぬことも出来なかった。苦しくてたまらないのに……今もこうして、のうのうと生きてる……」
耳鳴りのように風が唸る。その中で、少年の声が聞こえた。
「……僕もいじめの加害者だ。結局、何も出来なかったのだから……だけど、僕は見つけることが出来たんだ」
言葉の続きを求めて、少女は少年を見つめた。少年が、笑った。
「希望……を」
その時、突風が吹き抜けた。風に吹かれて、まるでそこから落ちてしまったかのような感覚に襲われる。
少女は思わず、目を瞑った。