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詩篇 蒼いけむり

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第十二篇 抱いてがわらない


抱いて あのひとがそう言った
ボクは戸惑いが隠せない
そっと灯りを落とす

静寂の中 イーグルスの曲だけが流れていた
そしてふたりは横になったままで闇を漂う
どちらからともなく そっと唇を重ね合わる

そしてもう一度
ねえ、抱いて…あのひとが言う
そう言った彼女の瞳に光るものが映る

ボクはぎこちなく両腕を背に回す
そしてそっと抱きしめる
あのひとのシャンプーの香りとやわらかな感触

そしてもう一度
お願い、抱いて…

ボクは答える もう抱いてるよ
そういいつつボクは
回した腕にすこし力を込める

いいのよ わたし本気なんだから
経験不足による意味の相違
このときボクは
抱いての意味が判らなかった

作品名:詩篇 蒼いけむり 作家名:天野久遠