詩篇 蒼いけむり
第十一篇 くちづけ
キス...する?
そう言われてることを待っていた
ボクは肩にそっと手をかける
あのひとはゆっくりと瞳を閉じる
そっと唇を重ねる
ときが止まる
香ぐやかに漂うかすかに甘い香水
はじめて接した女性の唇の柔らかさ
口に広がってゆくタバコの苦味
首元にそっと交差する腕のしなやかさ
そして
乳房を抜けて聴こえてくる鼓動
昨夜のことを思い出している
重ねた唇が開く
やわらかな舌が何かを求めるように絡み付く
唇が離れ瞳が戻る
そして静かに見つめ合う
ときがゆっくりと動きだす