Minimum Bout Act.04
どこへ行けばいいのか皆目見当もつかないまま、カッツは肩を怒らせながら先日セイラと共にカッツを尋ねて来たホズミの元へやって来た。
「おい、カッツ。本当にそんなお偉いさんが会ってくれるのか?」
「分からねえけど、取りあえずセイラの事も気になるし、リドヒムの事も何か分かるかもしれないからな。行くだけ行くぞ」
「はあ」
相変わらず計画的だか無計画だか分からないカッツに、シンはため息をわざとゆっくり吐き出した。カッツに聞こえるように。
「てめえは、文句があるならここで待ってろ」
「別に文句はない。でも、政府の建物の中に入るのは気が進まないからここで待っている。その間にルーズとセイラが何か交通機関を使ってないか調べておく」
「お前にしちゃ気が利くな」
ニヤリと笑い、カッツは政府の公安部が置かれる施設へと消えて行った。
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昨夜遅く、ルーズは部屋で一人ICカードをパソコンに読み込んでいた。
薄暗い部屋はパソコンの電子的な明かりだけが室内を灯し、ブウンと小さな音とキーボードを叩く音以外何も聞こえない。
読み込んだ情報を開く。
現れた膨大な資料には、地球における組織の調査内容と動向についての詳細がびっしりと書かれていた。
「ーーーこれは……」
そしてその資料が作成された日付と、作成に携わったメンバーの名前を見つけ、ルーズは息が止まりそうになった。
「そん、な……」
早くなる鼓動、信じられないという思い、そして疑問が確信へと変わる苦しさ。
パソコン内の情報を全て消去し、ルーズは部屋の入り口に掛けてあった上着を掴むと部屋を出た。
以前、カッツとシンが地球へ行った時、ルーズはパチンコをしていて間に合わないと嘘を吐いた。その時、何者かに後を付けられていたのだ。撒こうとしたがなかなかうまく行かず、結局地球に置いてきぼりをくらってしまった。ルーズの後を付けていたのはおそらく一人。追いかけっこをしばらくした頃、突然尾行の気配が消えたのだ。
仕事柄危険な目に遭う事はある。しかし、尾行を撒けなかったことは一度も無かったし、今回は少し違うようだった。無言の殺意にも似た圧力は終始あったが、ルーズを殺すという行動までは至らない。不気味なほどただルーズを見つめていた。
やはり自分は組織の人間だった。
しかも、先ほど見た重要な書類を中心になって作るほどの役職を持った……
会わなければならない。ミロに。
作品名:Minimum Bout Act.04 作家名:迫タイラ