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Minimum Bout Act.04

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 「あいつら一体何者だ? お前と一緒に車に乗っていた男。あいつは本物の殺し屋の目だった」

 無事追っ手を撒き、ベニーランドへ戻る宇宙船の中でシンはルーズに質問をしていた。ルーズはため息を吐く。

「ミロって名乗ってた。あなた達に助けられる前の私を知ってるって……」
「ーーー本当か?」
「嘘じゃないと思うわ」

 ルーズはミロがブルースに預けたICカードの事はシンに伏せておいた。誰かに話してはいけない。自分自身でその内容を確認しなくてはいけないような気がしたのだ。
 黙したルーズに、シンが口を開く。

「お前と別れた後、ちょっと隣町まで行っていた。他の仲間が近くにいるかもしれないと思って、様子を見に行ってたんだ。まあ、何の収穫もなさそうだったからすぐに戻って、警察署に顔を出したんだ。ちょうど入れ違いにお前が帰ったと聞いたら歩いていたら、どう見てもおかしな連中がいた」
「夜中なのにサングラスにスーツ姿の男達?」
「そうだ」

 先ほど囲まれたときの状況を思い出し、ルーズは肩をすくめる。

「で、車の中でよっぽどの話しをしてるんじゃないかと思って通り過ぎる瞬間に小型の盗聴器を車につけて建物の陰に入って中の会話を聞いたんだ。そしたらルーズの声で、人をたくさん殺してますって男を目の前に、丸腰で叩ける軽口は持ち合わせてないとかなんとかって聞こえて来て、これは何かヤバい事に巻き込まれたんじゃないかと思ったんだ。で、取りあえず男を殴り倒してたらお前が出て来た、という訳だ」

 いつもよりよくしゃべるシンに、ルーズは何だかおかしくなってしまった。よほどルーズの事を心配したのだろう。

「そうだったの。ありがとう、助かったわ」
「お前の過去の事、聞けたのか?」
「ううん」
「そうか……悪かったな、邪魔をして」
「別にいいの。やっぱりあのミロって男はヤバそうだったし、あの男とは、きっとまた会う事になる気がするから」

 会わなくてはいけない。そして、自分の過去を知らなくてはいけないと、ルーズは思った。

「一人では行くなよ」

 強い口調で言うシンを見上げ、ルーズは力なく笑う。

「そうね。ま、取りあえず帰りましょう。しばらく地球だし、そっちに集中しなくちゃね」

 窓の外、見慣れたベニーランドの高層ビルのきらびやかな明かりを眼下に、シンは胸の奥で嫌な予感を覚えた。
 ルーズが己の過去を知ってしまったら、MBからいなくなってしまうような気がしてならなかったのだ。

 どこにも行くな……

 などと言えるはずも無く、気付かれぬようため息を吐いて頬杖をついた。


 
作品名:Minimum Bout Act.04 作家名:迫タイラ