Minimum Bout Act.04
No.14「ミロ」
カッツの元に、ルーズからの連絡が入ったのは夜中の12時を過ぎた頃だった。
どうやら無事男を確保し、これからドルクバ警察で尋問を始める所だと言う。シンは他の男を捜しに先に出かけてしまい、取りあえずルーズだけドルクバ警察にやって来たらしい。
「そうか、お前はトレインから情報を聞いて、IDから出来る範囲でそいつらの事を探ってくれ」
地球へ行く事が決まってから、カッツは忙しく動いていた。
今度はどれくらい滞在するのか分からないが、本格的に調査をするなら数週間と言った所だろう。水は地球にあるとしても、食料はある程度買い込まなくてはいけない。武器にしても、閃光弾や電流弾、催涙弾の補充も必要だ。
シンもルーズもいない今、カッツ一人で買い出しにやって来ていた。
『ええ、尋問が一段落したらトレインから情報をもらう約束をしているから、また連絡するわ』
「頼んだぞ。で? シンのヤツはどこに行ったんだ?」
『さあ? 気になるならすぐに調べるけど……』
カッツは色々な物が詰まった袋を担ぎ直し、シンの顔を思い浮かべる。
「いや、いい。あいつも馬鹿じゃないから一人で突っ走って無茶はしないだろ」
『ああ、そうね、誰かさんよりは冷静だもんね』
「お前……戻って来たら覚えてろよ」
ピクリとこめかみをひく付かせ、カッツが恨めしそうに言うと、ルーズは楽しそうに笑った。
『いやねえ、すぐ怒る。初恋の少女の顔でも思い出して、落ち着きなさいよ』
「っ!? シンのやろう! あのおしゃべりがっ! いいからお前はちゃんと仕事して帰って来い!!」
どこまで話したのか気になるが、聞いて墓穴を掘ったらそれこそお仕舞いだと無理やり通信を切った。
どいつもこいつも人の初恋を馬鹿にしやがって!
思い切り心の中で叫び、カッツは足もとの小石を思い切り蹴った。
作品名:Minimum Bout Act.04 作家名:迫タイラ