Minimum Bout Act.04
No.13「捕獲成功」
クライリーとホズミがMB基地を出る時、セイラは名残惜しそうにしていたのだが、仕事があるからと渋々帰って行った。
それを見送りほっと胸を撫で下ろした所で、カッツはシンに連絡を入れた。
「よお、何か分かったか?」
陽気な声で尋ねる。それに反して静かな声でシンから返事が返って来た。
『ああ、もしかしたら、セイラをさらった連中の一人かも知れない男を突き止めた』
「ホントかよっ? お前、相変わらずそういう仕事が早いよな」
ドルクバ警察でも突き止められなかった人間を、シンは一人で探し当てたのだ。
『まだ確定じゃない。それにここまで数日かかっている……もうすぐルーズと合流することになっているんだが』
「そうか、分かった。こっちは取りあえず政府のお偉方と会って話したぞ。また地球に調査に行く事になった。plainと本格的にやり合う事になるかも知れないが、覚悟は出来てるか?」
『ーーオレは構わない。それよりカッツ。お前こそ、まだ初恋の女を探し当ててないのに、組織に目を付けられたりして大丈夫なのか?』
インカムの向こうでシンが笑ったのが分かった。
カッツはふんと鼻を鳴らすと、肩をすくめる。
「勝てばいいだろ? 組織の連中を根こそぎやっつけて、んでゆっくりと腰を据えてソラを探す」
『……』
「あ? んだよ?」
急に無言になったシンに、カッツは眉を寄せて尋ねる。
『……いや、お前の初恋の少女の名前が“ソラ”だって分かって、ちょっと噛みしめてた』
思わず名前を言った事に気付き、カッツは顔を赤らめた。
「うっ、うっせー! ヘマすんじゃねーぞっ!!」
ブツリ!
通信を乱暴に切ると、カッツは先ほどホズミから渡されたマイクロチップを取り出して眺めた。
この戦いの先にあるのは勝利か、はたまた絶望か。
「はあ~。やっぱちょっと失敗、かなあ……」
作品名:Minimum Bout Act.04 作家名:迫タイラ