七変化遁走曲
とりあえず、雨夜と酒で調べてみるよ。
そういって常葉は本棚を暴き始めたけれど、翌日を半日費やしても決定的なものは何一つ見つけられなかった。午後からは薊堂を空けてどこかに出て行ったものの、夕飯時刻に顔を見せた時にも成果という成果は報告されないままだった。
あたしはあたしで、パソコンを使って探してみる。雨やら夜やらで検索すると詩作や楽曲が多く該当し、酒であれば当たり前に造酒関連のページが引っかかった。
「この中に正解はあるのかしら」
自分で淹れた紅茶をずるずると啜りながら、膨大な検索結果の前にぼんやりと視線を投じた。
労力も虚しく、夕刻。
いつの間にか日曜日が終わろうとしている。残るのは倦怠感と、大切な休日が泡と消えた後悔。
やっぱり陽華さんの提示通り、『明後日』から探し始めれば良かったのだと思い知るのは、翌日の朝だった。
かちり、ぱちりと。
パズルのピースは急速的に当てはまっていく。