男女平等地獄絵図
ヤマが突然顔を上げた。
霧柳は怪訝な顔をする。
「どうなさいました?…椿様だったらヤマ様がゲームをしている間にとっくにお部屋に戻られましたよ。」
「嫌なビジョンが見えた。」
ヤマは無表情でDSを放り投げ立ち上がる。
霧柳は首を傾げてDSを片付けた。
ドンッッッ…
「っ」
どこからか煙が立ち上る。
悲鳴がそこら中からあがった。
霧柳は自分が消滅したものと思った。
何処かで聞いたことがある。
鬼をも消し去る炎の存在を。
「…」
うっすらと目を開ける。
そこには美しい顔があった。
「…ヤマ…さま…」
ヤマは霧柳を抱き抱えたままふわりと着地した。
そして今なお燃え上がる炎を掌の中へ吸い込んだ。
「こんなモノで私は消せんぞ。霧柳、大丈夫か?」
「…はっはい…」
ヤマはまた駆けだす。
「後片付け頼むぞ霧柳!」
霧柳ははぁ…とまのぬけた返事をし、走り行くヤマの背中を見つめていた。
「…これじゃ孔煉のこと馬鹿に出来ないじゃない…」